
「クリエイティブ」という言葉を聞くことが増えた気がしませんか?私はクリエイティブや、イノベーション、などの言葉を耳にしない日はありません。つい10年くらい前はあまり聞かれることのない言葉だったのに・・
今回の記事は「クリエイティブ」という言葉の日本語の意味を紹介、また人事の仕事をしている私の主観から、クリエイティブに仕事をするということを真剣に考えて書いてみたいと思います。
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クリエイティブの日本語の意味
まずはウィキペディアの紹介から。以下のように解説してあります。
クリエイティブ、クリエイティヴ(Creative)とは、創造性、創造的であることの英訳。
https://ja.wikipedia.org/wiki/クリエイティブ
ずいぶんそっけない解説ですね笑。しかし、ある程度日本語としても定着した印象のある言葉でもあるだけに、あまり解説の必要もない言葉かもしれませんね。
では、創造性とはなにかということを更に深掘りしたいあなたはこちらを。
http://www.japancreativity.jp/research.html
さて、こちらは昨年、私が読んだ本の中でもとても印象深かった本です。
「世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方」
この本はクリエティビティの伸ばし方や具体的な方法論を論じる本ではなく、主にデンマーク人で、世界的にクリエイティブであると認められる人達にインタビューをして掴み取りづらい概念の輪郭を明らかにしていくアプローチをとった稀有な本です。
インタビュワーはスポーツ衣料メーカーで有名なヒュンメルのオーナーであるクリスチャンステーディル氏とオールボー大学の心理学教授リーネタンゴー氏の二人。
この本によって、私はクリエイティブという、どこか遠く感じていた概念を自分の中に取り込むことができたと思います。
この本では「日本の読者のみなさまへ」という序文で、「クリエイティブ」を次のように定義しています。
「クリエイティビティというのは既存の枠の外でものごとを考えるのではなく、既存の枠の限界ギリギリのところで考え、活動することに関わる能力である」
少し抽象的ですね。そのあとに続く文章で噛み砕いてくれていいます。
「日本の製造業でいう改善」
「無心というこころの状態」
「他の国や製品を手本として新たなものを生み出すこと(それをコピーと呼ぶ人もいるかもしれないが、私たちはクリエイティブシンキングと読んでいる)」
いかがでしょうか。クリエイティブである、ということが、多くの人が無意識にイメージしている「一部のものすごく優れた才能ある人だけに許される活動」という一般的概念からはすこし異なる定義をされています。
クリエイティビティがなぜ注目をあびているのか?
最近、日本語として定着した感はありますが、10年前にはあまり聞かれなかった印象もあります。これはなぜか。
勝手な解釈ですが、世の中の変化スピードが劇的に早くなり始めたのが最近(○年ということまでは言えず強縮ですが)である、ということが言えることなのではないか、ということです。
https://toyokeizai.net/articles/-/88361
AIやブロックチェーン、世界を変えるようなテクノロジーが身近になりつつ有ることを感じることはあなたも多いのではないでしょうか。
仕事を効率化する過程はクリエイティブなプロセス
ということは私のような一見クリエティブとは縁のないような仕事をしているう人にも求められ、発揮することのできる能力であることがわかります。
私は人事(総務もすこし)の仕事をしていますが、あえていつも人事の仕事を少し遠くから眺めることを意識しています。
どういうことかというと、人事や総務の仕事は定型的な仕事も多いです。多くの会社もそうなのではないかと推察します。
定型的な給与の支払いや社会保険の手続きなどはその典型です。この領域はアウトソーシングを進めている会社が多く、RPA(パソコンで反復的にできる仕事を自動化する仕組み、くらいに捉えると概ね間違いないと思います)と呼ばれる自動化のアプリケーションが力を発揮しやすい分野としても注目されています。
「定型的な仕事」というのは繰り返すわけですから、一度行うと、なんらかの形で自動化ができます。毎回変数が異なるだけならもう100%可能でしょう。
この記事を書いている2019年1月現在、人を雇うほうがPRAなどのツールを導入するよりも安くて確実だからという理由でRPAなどの導入が進まない会社は多くあるだろうと思います。
しかし、近い将来「将来なくなる仕事リスト」にエントリーしているのは上記のような「何らかの形で繰り返しのセオリーを明確にできる仕事」である、といえるでしょう。
私が過去に経験した仕事も多くの作業がありました。エクセルで行う仕事も多かったため、エクセルVBAを覚えました。
また、現在の会社では課の業務を辞めたり、効率化したり、他部門に移管したり、という取り組みをしています。
ここで上記の仕事を抽象化してみます。
「顧客への価値を再確認し、効率化する。効率化できたら、さらにできることをつくる」というサイクルになります。
ポイントを分解すると3点です
- 顧客への価値を再確認する
- 今やっている仕事を効率化できる部分をかんがえる(やめることを含めて)
- 顧客に提供できる価値を探し、なければ創る
私はホワイトカラーのクリエイティブな仕事の仕方などの本を読んだわけではありませんので、方法論は知りません。しかし、「新しい仕事を創る」というのは、広義の意味のクリエイティビティであると言えると私は思います。
0から1を生み出す、というよく使用される意味とはずいぶんかけ離れた印象かもしれませんが、私は「減らす」や「捨てる」その結果「新しい仕事を作る」という過程は十分にクリエティブだと思います。
人事の仕事を例にとりました。上記の他にも一般的な人事の仕事としては、採用や制度設計、文化づくりの推進役などの仕事があります。画一的な作業が少ない分、これらは自動化がしづらい分野=クリエイティビティを発揮しやすい分野でもあります。
人事部門ではない方にはあまりピンと来ない話題が続いており強縮ですが、上記の3ポイントはある程度どのような仕事にも当てはまるのではないかと思います。
大事なのは、1番めの「顧客に提供する価値」を見誤るとだめです。顧客に必要とされ、顧客とともに発展できるような領域を目指すことが意味のあるクリエイティビティです。世の中に直接的な経済的価値がないものを生み出すことは芸術に近いのかもしれません。
さて、人事の仕事でのクリエイティビティの発揮の例を紹介しましたが、前述の「世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ 発想力の鍛え方」には、最もクリエティブとは縁遠いイメージの法律事務所が紹介されています。
デンマークのLETT法律事務所という事務所です。どのようにクリエティブか、というと従来の法律事務所の仕事とされていた仕事ではなく、顧客にソリューションを提供するコンサルティングサービスに事業転換したということが書いてあります。
この会社では、顧客が求めるソリューションに、「法律ではこうなっています」という対応しかして来なかった従来の営業の仕方を変えたと言います。
上記の例はプロダクトを生み出すことからはかけ離れていますが、とてもクリエイティビティを要するプロセスだと思います。
事業転換の推進者である、事業開発部長のミカエル氏は、クリエイティブという心地よい響きから感じるイメージとはかけ離れた心地よくない思いもずいぶんしたことだと思います。
「最初はチームワークは有効ではない」そう。たしかに、歴史を見ても、偉大な人物とされる人間は「チームワーク」とは無縁のようにみえますね。
さて、クリエイティブ職と呼ばれる職業以外の仕事についているあなたもクリエイティブとは無縁でないことがわかりました。現に、仕事は増やすより減らすことの方が難易度はずっと高いと思いませんか?
あなたもクリエイティビティを発揮できる
あなたはクリエイティビテティを発揮する、ということをしてみたいですか?というと「ふーん、別に」という答えが返ってきそうです。
しかし、「仕事を面白く、よりよい状態にしたいですか?」という質問ではいかがでしょうか。
本来、仕事とはあなたの提供する労働力、サービスを享受する人あってのもの。サービスを提供される側にとっての価値はなにか、を考え続けることが仕事の質を上げる唯一の道だと私は思います。
ここでのポイントは「相手の望んでいることはなにか」ではなく、相手にとっての価値は何か、ということです。
相手の望むことを満たすことに主眼をおいてしまうと単純なサービス提供者になってしまいます。これでは人間が仕事をしている意味は薄いといえます。人間は誰でもクリエイティビティを備えているもの。
相手に取っての価値を上げることを真剣に考えることは、相手にとっても、自分にとっても、仕事を面白くすると思います。
仕事を「食べる為だけの行為」と捉えているなら、この発想はまずできないでしょう。しかし、あなたの今の仕事はある程度、自分がやりたいことを選んでいるはずです。
キャリアの8割はコントロールできないということを差し引いても、少なくとも自分の意思で働く会社を選んでいるはず。
それならば、入社したあとの仕事も自分で選び取ることがある程度できてもおかしくないとおもいませんか。
さて話しがすこしそれましたが、相手にとっての価値を真剣に考えて行くと、定形の作業を続けるだけでは、選ばれ続けるサービスでありつづけられないか、価格競争に巻き込まれる可能性がとても高いと思います。
私は仕事にクリエティビティを持ち込むと、自分で仕事の役割を作ることができる、と思っています。というのは私自身がそうだからです。
仕事の役割は与えられることをこなしている内は「使われる立場」から抜けられませんが、自分で考えて動き、周囲に価値をみとめさせることができれば、仕事は100倍面白くなります。
私の場合、人事の仕事をしていますが、ほぼ100%自分の裁量で仕事をしています。指示命令される仕事はありません。
自分で行動して独自の立場を作っていくということをする。これを実感するとクリエイティブとは、十分に自分にも発揮できる能力であることが理解できると思います。
食うために働くことから開放されると人間はクリエイティブになる?
ここからは余談ですが、政治が安定し、食べることの為にはたらくことから開放されると、人は芸術に目が向くようになるというのは人類の歴史を見ても明らかです。日本でも江戸時代、太平の300年の間に数々の文化が花開きました。
正確にいうと、江戸時代の人たちが食べることのために働くことから開放されていたわけではありません。
しかし、江戸の都市部の生活は、食えなくなったらなくなったら働き、稼いだら休む、という現代の我々よりも、先進的な生活をしていたようです。
江戸時代の江戸は3年に一度という驚異的な頻度で火事に見舞われていたことからも、「宵越しの金は持たねえ」という独特の文化が育ったこともあるのだと思います。この時代、江戸文化と呼ばれる文化が発展し、江戸独特の日本語、江戸っ子言葉も進化しました。
- ありがたい
「蟻が鯛なら芋虫や鯨」 - その手は汚えぞ
「北がなけりゃ日本は三角」 - その手は食わないぞ
「その手は桑名の焼き蛤」 - 恐れ入ります
「恐れ入谷の鬼子母神」
日本語としてヘンなのはともかく、実にウィットに富んでいますね。これらを習得するためのスクールもあったのだそう。クリエティブであるとは、人間の脳活動に取って自然な行動なのかもしれません。
まとめ
まとめです。主観がかなりはいってしまいましたが、クリエティブという言葉の意味を解説しました。日本語としてのクリエティブとは、創造的である、という意味でした。
さて、クリエイティブという言葉はよい事である、という意味で使われることが多く、ともすれば従来の価値や方式を否定するような文脈で使われることもあります。
変えることや作り出すことだけではなく、「ちょっとした工夫」だけでも、あなたの仕事生活や家庭生活を面白くできるはずです。あなたもあなたの分野でクリエイティブになる勇気をもってみませんか?