厚生労働省は、男性の育休取得率が3%を越えたと発表しました。記録的な数字だと言わんばかりの勢いです。しかしはっきり言ってひどい数字だと思いませんか。100人中たった3人しか取得していない現状。本当は取りたいけど、会社の雰囲気的に、どうも取りづらいから、我慢。という方は多いのではないでしょうか。
でも本当にそれでよいのか。我が子の成長をみる機会に、仕事をして過ごすことが本当の幸せなのか。海外とくらべて、どのような状況なのか。本記事では男性の育休を取り巻く事実を再確認し、海外の事情を紹介します。
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男性の育休取得状況現状
男性の育児休業取得率が3%台に

参考資料:http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-28-06.pdf
育休を取り巻く現状は目を覆うばかりのひどい状況です。なんと、100人中、3人しか育休を取得する男性がいないという現状。
実は私も育休を取りませんでした。そのことを後悔しています。私は2児のパパですが、男性が育休を取る、という感覚はそもそもありませんでした。産後、母体が絶対安静状態であり、育児ストレスがピークになる、ということも知りませんでした。
産後直後の女性は産褥期に入り、1ヶ月間、お風呂に入ることもできません。産褥期間は産後6週間から8週間に及びます。多くの母親はこの期間に実家で過ごすことも。しかし、自宅で一人育児をする母親も多く見られます。
そういった環境では、育児ストレスも大きく精神状態も不安定になります。私の場合、妻の出産時期に、公認会計士資格の受検を目指し、脇目もふらず猛勉強中でした。(2ヶ月程度で挫折しました笑)そんな中、長男が生まれ、妻は大変なストレスを抱えていました。
10年近く経った今でも、妻はその当時のことを振り返り、「助けてくれなかった」とボヤきます(笑)そして何より私自身が後悔しています。子供が生まれてからの1年間は見違えるような成長を見せます。子供がいるあなた、わかりますよね。まだのあなた、是非子供を作ってください。幸せを実感しますから。
話がそれましたが、次に、数少ない男性の育休取得の内訳を見てみます。
取得者の約8割が2週間未満で仕事に復帰
約3%の男性が育休を取得。その取得期間を見てみると、以下のようになっています。

参考資料:http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-27-07.pdf
なんと、2週間未満しか休んでいない方が実に74.7%に登ります。これって育休と呼べるのか?と正直思ってしまいます。妻からみるとどうでしょう。夫が2週間育児に参加した。僕イクメンです。と偉そうにされると困りますね・・日本の男性はよほど仕事が好きなのでしょうか。きっと男性側にもそれなりの事情があるはずです。
男性の育休取得が進まない理由
男性の育休取得が進まない理由、おそらく理由は一つではありません。しかし少なくとも、私が妻の出産直後の育児に参加しなかった当時はそもそも意識がなかった。男性社員で育休をとる、という前例がなかったし、そもそも、制度上、育休をとることができることに男女の差がないを知りませんでした。
また、職場内で、どれだけ育休取得を推進しているか、という会社の体制にもよるところがあるでしょう。少し古い記事ですが、以下のような調査があります。
「会社に育休を取得しやすい制度があるか」

参考資料:http://www.u-can.co.jp/company/news/1195200_3482.html
「勤務先に育児休業を受け入れる雰囲気があるかどうか」

参考資料:http://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2013/4940.html#anchor3
多くの職場では、男性が育休を取得することが一般的、とは見られない傾向にあるようです。
それに加えて、「マタハラ」ならぬ「パタハラ」がある会社も。「パタハラ」とは、パタニティー・ハラスメントの略。男性が育児参加を通じて自らの父性を発揮する権利や機会を、職場の上司や同僚などが侵害する言動におよぶことを、パタニティー・ハラスメントと呼びます。ここでも少し古い記事ですが、東レ経営研究所の渥美 由喜氏の記事で、パタハラについて詳しく記載されて言ますので、合わせてご覧ください。
参考資料:http://style.nikkei.com/article/DGXNASFK3100C_R30C13A7000000?channel=DF061020161183&style=1
この様に、日本の男性は育休を取りたくても、取りづらい環境下に置かれているという事実はあるようです。
海外の育休取得事情
男性の育休取得率が9割を超える国がある
では、海外の事情に見ていきましょう。
「パパ・クオータ制度」という制度をご存知でしょうか。
これはノルウェーで最初に導入された制度で、育児休業の一定期間を父親に割り当てる制度。父親が育休を取得できる期間は6週間、その期間中、母親が仕事に戻る必要は無く、両親ともに休業を取得できます。この制度のよいところは、休業期間中も最低8割の給与を保障するという点でしょう。お金の不安なく、育児に専念することができるのです。
この制度の導入によって、同国では、制度導入前は約4%だった育休取得率が2003年には90%にまで上昇しました。いかがでしょうか。日本との違いにショックを受けてしまいますね。
ノルウェーを含め、北欧諸国の取得率は以下です。
- ノルウェー:約90%の取得率
- スウェーデン:約80%の取得率
- ドイツ:約20%の取得率
参考資料:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/07/dl/h0701-6a_0004.pdf
その他、こちらも少し古い資料ですが、厚生労働省が国別の取得率に関する資料を公表しています。これでみると、日本は世界最低なのではないか、と思えてきます。(苦笑)
参考資料:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/dl/s0926-3c_0003.pdf
男性の育休取得率が低い日本では離婚を意識する妻が5割いる
ところで、話は日本に戻りますが、男性の育休取得率が極めて低い日本では、予想以上に多くの女性が離婚を意識しています。子育てをする男性を支援するNPO法人ファザーリング・ジャパンは昨年9月に「結婚生活と離婚に関する意識調査」を発表しました。
小学生以下の子がいる2000人の男女への調査で、「離婚したいと思ったことがある」妻は50%に登りました。それに対して夫の場合は35%。妻は夫に、育児への参加だけでなく、コミュニケーションを求めているようです。
参考資料:http://fathering.jp/news/7096-2
この調査からも、日本の男性は育休を取得し、育児参加と、妻とのコミュニケーションが切実に求められていることがわかります。
ここで、朗報です。実は日本でも、厚生労働省が昨年から、パパ・クオータ制度導入の検討を進めています。
参考資料:http://mainichi.jp/articles/20170316/k00/00m/010/056000c
平成29年3月の衆院厚生労働委員会が育児介護休業法の改正で、育休を最大2年まで延長する案を可決、あわせてパパ・クオータ制の導入を求める付帯決議が付いたようです。(意見や希望などを表明する決議なので法的拘束力はない)。パパクオータ制については、これまで、厚生労働省が検討をしたが、労使の折り合いがつかず、一度頓挫しています。
今回再度、検討となるのはよいことのように思えますね。是非ねちっこく検討して頂きたいです。ちなみに、育休最大2年というのは個人的には賛成。キャリアにブランクが・・という意見もあるかと思いますが、仕事第一の考え方一辺倒であった従来の働き方の新たな軸になりえるような気がします。いずれも早く実現するといいですね。
まとめ
- 日本の男性で育休を取得するのはまだまだ少数派。
- 取得しても80%近い方が2週間未満で職場復帰。
- 北欧諸国では80%を超える男性が育休を取得する国がある。
- 厚生労働省はパパ・クオータ制度の検討を開始している。
日本の男性はもっと声をあげていいと思います。特に、今から奥様が出産する、というあなた。社会が動き始めた今はチャンスなのです。お勤めの会社に男性育休取得の制度や雰囲気がなければ、是非人事部に相談してみませんか?
会社としても「男性の育児休業取得率」は関心の高い数字です。人事部が興味を示さない場合は、きっと会社として問題ありです。さっさと退職して次の会社を探しましょう(笑)人生は一度きり。会社につくしても子供との貴重な時間は返してくれませんよ。