感情

感情の仕組み、脳の3つの場所が関係していた!

あなたは”心”である感情の仕組みを知っていますか?実は感情は脳で生まれているのです。例えば、今日はどんな1日でしたか?1日を丁寧に振り返ってみると、意外とたくさんのことが思い浮かびますよね。

朝から電車が遅れていたことでイライラしてしまった、しかしお昼はおいしいランチが食べられてうれしかった、午後は眠くて仕事がはかどらず焦って不安になってしまった、帰りには好きなお店に寄ることができてうれしかった。

事実と感情をセットで思い出す方が多いのではないでしょうか?このように、記憶と密接に関係している感情ですが、感情が生まれる場所や仕組みは意外と知らないもの。

実は感情が生まれる仕組みは脳のある部分が非常に深く関わっています。一緒にみていきましょう!

ライター:しょこここ

感情の研究はFMRIによって発達した

感情に深くかかわる脳の場所をご紹介する前に、FMRI(機能的磁気共鳴映像法)についてお伝えします。

機能的磁気共鳴映像法と言ってもなんのことか分かりにくいですよね。簡単に説明すると、人間が何らかの感情を感じているときに脳のどの部分が活発に機能しているのか、血中の酸素レベルを測ることでそれが可能となる仕組みです。

例えば恋愛をしている時、怒っているときに脳のどの部分が活発になっているか、分かるのがこのFMRI装置です。

FMRIが登場する前までは、脳に損傷を受けた人の経過観察でしか脳の情報は分かりませんでした。FMRIによって多くの健康な人の脳の記録が可能となり、感情が生まれる脳の場所についてもより分かるようになってきました。

WikipediaのFMRI記事

感情に深く関わる脳の3つの場所

最近はFMRIによって、感情に関わる脳の場所が分かってきました。特に深く関わる3つの場所をご紹介します。

感情が生まれる脳の場所①:偏桃体

偏桃体は、脳の中央にある神経細胞の集合体です。偏桃体のおおまかな役割をご紹介します。

  • 情動と感情を処理する
  • 直感を生む
  • 危険を感じるとストレスホルモンを分泌する
  • ビリーフシステム(後述)で認識した事実を評価する

感情の発生に大きく関係している扁桃体。事実としての出来事をビリーフシステムにより評価するのもこの部位です。

うーん、わかりにくいですね。いいかえると、過去の経験や出来事から出来上がったあなたの思考パターンで事実として置きた出来事の快・不快を決めているのがこの部位である、ということです。

うつ病は扁桃体で生まれる

偏桃体は恐怖や不安を感じやすい部分でもあります。強いストレスや不安を感じると、扁桃体は「副腎」という腎臓の上にある小さな臓器に「ストレスを受けています」と伝達します。「コルチゾール」や「アドレナリン」を分泌させます。

コルチゾールの説明は以下です。

分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。

https://ja.wikipedia.org/wiki/コルチゾール

このように、コルチゾールは過剰分泌されると体に悪影響を与える怖いホルモンでもあります。また、コルチゾールは体に蓄積していく傾向があり、過度に蓄積された状態になると、コルチゾールの分泌を抑える後述する「海馬」が萎縮します。

他にも様々な脳の機能を停止する影響を及ぼします。脳機能が正常な状態であると、以下のような状態をキープします。

  • 理性を保つ
  • 意欲的である
  • 論理的思考をする

しかし、コルチゾールが過剰分泌されると以下のような状態に支配されます。

  • 常に不安である
  • 悲しい
  • 自信の喪失
  • 焦燥感がある
  • 常に緊張している

このような状態は脳の機能が正常に働いていない状態です。この状態が続くと、うつ病を発症することなります。

参考:http://www.akira3132.info/limbic_system.html

参考:Wikipedia

参考:http://www.utu-skill.net/cause/

?感情が生まれる脳の場所②:海馬

脳には「海馬」という記憶を司る部分があります。上述の扁桃体はその海馬と影響し合って喜怒哀楽を生み出しています。

形がタツノオトシゴに似ており、「海のウマ」みたいだから海馬と名付けられました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC_(%E8%84%B3)#/media/File:Hippocampus_and_seahorse_cropped.JPG

なるほど、確かによく似ています。

さて、海馬の役割は情報整理です。新しい経験や出来事は海馬で整理整頓され、大脳皮質や側頭葉に送られるといわれています。この海馬は強いストレス状態が長く続くと萎縮することでも知られています。

うつ病患者の脳をスキャンすると海馬が小さくなっていることが報告されています。

?感情が生まれる脳の場所③:前頭前野

3つ目は、前頭前野です。ちょうどおでこのあたりに位置している前頭前野は大脳の中の30パーセントを占めるとても大事な場所です。学習をコントロールするとも言われ、頭がいい=前頭前野が発達していると言われています。

余談ですが、おでこが広いと頭がよさそうに見えることがあるかと思いますが、おでこの広さと頭のよさは関係ありませんので、ご注意を笑。

さて、前頭前野の役割を大まかに説明すると・・

  • 感情をコントロールする
  • 考える
  • 創造する
  • アイディアを生む
  • 共感する

感情をコントロールしたり、共感する役割があることから社会的な感情の部分を担っていると言えます。つまり人間の意欲的な活動はこの部位が関係しています。

前頭前野に傷を負い、人格が変わった最も古い例

あなたは「フィネアス・ゲージ」という人をご存知ですか?

1800年代、アメリカの鉄道建築技術者として働いていた最中に、直径3センチもある鉄の棒が頭を貫通。左前頭葉(前頭前野は前頭前野に含まれます)の大部分を破損し、奇跡的に生還した、というものすごいエピソードの持ち主です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/フィネアス・ゲージ
https://ja.wikipedia.org/wiki/フィネアス・ゲージ

なんと恐ろしい・・・上の写真は事故後に撮影されたものであり、彼が片手に持っているのは彼の頭を貫通した棒です。

さて、見出しに「人格が変わった」と書きましたが、以下のようなことがありました。

  • 酒癖が悪くなった
  • 幼児に性的虐待をした
  • 妻子に暴力を振るった
  • 粗野になった

ちなみにゲージは妻子はありませんでした(笑)。この事故は当時でもとても衝撃的なニュースとして扱われ、「脳に損傷を負って人格が変わった」という部分に過度にスポットライトがあたり、誇張もされたものと考えられます。

実際に人格が変わったのは一時期的なものであり、転職はしたものの、事故の12年後に亡くなるまで仕事を続けていたようです。

さて、話がそれてしまいましたが、ここで取り上げたのは、前頭前野の働きに、事故の例を通して光を当てる為です。

フィネアス・ゲージの事例が起こるまで、前頭前野は脳の中で何もしていない部分であると考えられていました。実際、彼は前頭前野に損傷を負っても死なずに生きていたわけです。しかし、人格の変容があったことで前頭前野が「どうやら性格に影響があるようだ」ということがわかったのです。

信頼でき、機知に富み、我慢強く、かつこれ以上に大事なのは、乗客とうまくやっていけるような人格

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気まぐれで、礼儀知らずで、…気まぐれで移り気

当時のメディアによる誇張はありましたが、性格の変化は実際にあったようです。さて、前頭前野は以下のような機能がありました。

  • 記憶する
  • 感情をコントロールする
  • 考える
  • アイディアを生む
  • 共感する

「気まぐれで礼儀知らず」というのは感情のコントロールができない状態になっている状態といえるでしょう。

この事例がきっかけとなり、1930年代にポルトガルの医師により、前頭前野の一部を手術で切除する「ロボトミー手術」が生み出されました。

この手術で精神疾患を患い、暴力的な患者がおとなしくなることを発見。これ以降世界中でロボトミー手術が盛んに行われました。

しかし手術を受けた患者はとても無気力になり、全般的な感情のがなくなったようになる、などの症状も多く現れ、倫理的問題が指摘されるようになりました。

そして1949年に、クロルプロマジンという薬が開発され、手術の必要がなくなったことからこの手法は急速に廃れました。手術が開発された当時は開発者のアントニオ・エガス・モニスはノーベル賞を受賞しましたが、現在ではこの手術は人間性を奪う史上最悪の手術だった、とも言われています。

話がそれましたが、このように長い歴史を経て、前頭前野の働きは少しづつ明らかにされてきました。

参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/フィネアス・ゲージ

参考:https://bsd.neuroinf.jp/wiki/前頭前野

感情はあなたの信念や思い込みが生んでいる

さて、上記で見てきた扁桃体と海馬、前頭前野はどのように感情を生み出すのでしょうか?

実は感情の生まれるシステムについてはこうである、と明確に分かっているわけでははまだなく、未だ研究段階なのです。

こちらのWEBサイトは主に研究者向けに、感情の仕組みの説について詳しく書かれています。少し難しいのですが、感情の発現の研究の歴史と現在主流となっている考え方まで掲載されていますので参考にどうぞ。

ここではビリーフシステム論(と呼ばれているわけではありませんが、わかりやすく説明するためにこのように呼びます)を紹介したいと思います。

ビリーフとは、思い込みや信念、固定観念であると理解すると良いでしょう。

参考:http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/column/sisetukeieisha/sisetukeieisha020.html

ビリーフはあなたの生まれ育った環境や経験ですこしづつ形成されたあなたの思考の癖のようなもの。

たとえば、「自分はダメなやつだ」と思い込んでいても、周囲のあなたをよく知る人物は「そんなことないよ」という評価をしてくれること、ありますよね。

これはあなたを知る人物があなたにお世辞を言ってくれているのでしょうか?そうであることも多少はあるかもしれませんが、決してそうとばかりではなくあなたのことを本当に評価してくれていることも沢山あるとおもいます。

これはあなたのビリーフが「自分はダメなやつ」というシステムをつくり上げていることに他ならないと思います。

世の中には能力が十分にあっても成功できない人が沢山います。これは「私は十分に成功する能力がある」というビリーフを持っていないだけです。成功するための努力をしていないだけなんですね。

なにかの出来事に遭遇した時は、海馬に一旦記憶として保存されます。それを偏桃体が快か不快かを判断し喜怒哀楽の感情となります。この繰り返しの結果、前頭前野はパターン化、つまり抽象化していきます。

たとえば、「仕事でミスをして怒られた」という経験が繰り返されると、「私は仕事ができない人なんだ」というビリーフ(信念)に変わっていくわけです。

逆もしかりで「私はアイドルであり、大変な人気者であり、何をしても許される」というビリーフシステムを持っていると犯罪を犯してしまうことも出てくるわけですね。

さて、長い説明でしたが、ビリーフが感情とどのように関係しているのか、見ていきたいと思います。

感情の生まれ方

事実としての出来事は脳の主に3つ場所で評価され、感情を生み出しています。

  • 海馬で事実を、側頭葉に蓄積された過去の記憶と照合し、快・不快、プラスもしくはマイナスのものとして処理
  • ?前頭前野で、事実としての出来事をビリーフシステムと照合する
  • ?扁桃体で海馬に働きかけ、出し入れする記憶を増幅させたり弱めたりし、評価し、喜怒哀楽などの感情が作られる

無意識のうちに染み付いているあなたの思考癖は、あなたの感情に直結してました。これがあなたの世界観につながり、行動の基準になっているのですね。ポジティブな人やネガティブな人、人によって感情の傾向があります。それは、今までの長期記憶も含めた記憶によって感情を判断しているからなのですね。

まとめ

今回は、感情が生まれる脳の場所についてご紹介しました。感情に深く関わる脳の場所は3つありました。

  • 偏桃体
  • 海馬
  • 前頭前野

また、感情が生まれる仕組みについてもお伝えしました。

  • ビリーフシステム(認識パターン)
  • ビリーフシステムによってその人の世界観がつくられる

感情に関わる脳の場所や仕組みはまだまだ研究段階であり、「これ」というものはありません。本日紹介したビリーフシステムはあくまでもその一つである、ということです。

しかし、ある程度正しいかも、といわれている仕組みを知ると、感情に振り回されそうになっても「あ、これってビリーフシステムかも」と感情がコントロールできるようになるのではないでしょうか。

私もまだまだ修行中ですが、ビリーフシステムをハッピーな方向に書き換えてみるようにしてみます!

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