
あなたは普段生活していてうまく感情が出せないと感じることや、感情が欠落してきていると感じることはありませんか?
そう感じる場合には、ちょっと立ち止まって自分の感情に耳を傾けることが必要かもしれません。
感情がない・出せないと感じる場合、今の環境が感情を欠落させる原因となっている場合もあります。また、気づいていなかっただけで実は生まれつきの病気である可能性も・・・
体の病気と違いすぐに命に関わることではありませんが、生きていくうえで自分の感情はとても大切です。今回は感情とは何なのか、感情が薄い・欠落していると感じる場合に疑うべき原因、自分でできる対処法をまとめました。
ライター:しょこここ
Contents
感情とは何か
あなたは感情はそもそも何なのか、考えたことはありますか?
読者の中にはもしかしたら自分は生まれつき感情がない、欠落しているのではないかと感じている方もいるかもしれません。
周りを見わたすと、感情が豊かで表現するのも上手な人や、感情は豊かでも表現するのは苦手な人など様々な人がいますよね。
しかしあまり感情を表に出さない人も、感情がないのではなく心の中ではいろいろな感情を抱いていることもあります。
つまり、感情は目に見える「行動」とは違い、目に見えない「気持ち」なんですね。
こちらのサイトでも、感情とは動物がものごとや人に対して抱く喜びや悲しみなどの「気持ち」であると紹介されています。
そのため、いろいろな感情を抱いているけれど行動としてあらわれていないだけなのか、感情が欠落しているのかは異なることを認識する必要があるでしょう。
感情はコントロールできない?
感情は目に見えない「気持ち」であるとご紹介しました。では、妬みや僻み(ひがみ)など、「悪い」感情は不要なものなのでしょうか?私は悪い感情も含めて必要なものと思っています。
たとえば誰かが失敗したのを見てうれしく感じたり、優越感を感じたことはないでしょうか?
また、身近な人の幸せや成功を素直に喜べず複雑な気持ちになってしまう時はないですか?
こんな感情を持ってしまう自分はなんてひどい人間なのだろうと感じますよね。
とはいえ人間なので、良くないとされる感情を持つこと自体はコントロールすることができません。コントロールできるのは、行動のみです。
たとえ良くないとされる感情を持ったとしても、そこから自分なんてとあきらめてしまうのか、自分自身をさらに磨いていくのかは自分次第です。
感情をコントロールするのではなく、いかに行動をコントロールするのかが重要だと言えます。
生まれつき感情がないと感じる場合疑うべき病気3つ
これまで見てきたように人間の行動の原動力にもなる感情ですが、実は4歳までに、うれしい・かなしいなどの主要な感情が形成されると言われています。
その大切な感情が、生まれつき欠落している・薄いのではと感じるときに疑うべき病気をご紹介します。感情がないかもしれないと感じ不安な時に、参考にしてみてください。
疑う病気①:アレキシサイミア(失感情症)
アレキシサイミアという病気があります。例えば、以下のような自覚があるならば、疑ってみても良いかもしれません。
- 自分自身の感情を自覚、認識するのが不得意
- 想像力、空想力が乏しい
失感情症という病気の名前のイメージから、感情を失っていたり感情が欠落しているように感じるかもしれません。しかしあくまでも感情を自分で認識するのが生まれつき難しい方が当てはまるようです。
ただ、この病気はうまれつき、としてしまうと少し補足が必要です。うまれつき持っている特性がストレスなどで
発達障害の方はアレキシサイミアを併発していることが多いと言われます。例えば、生活をしていると以下のような場面があります。
- 失礼なことを言われた
- 嬉しい言葉をかけてもらった
このようなときに、とっさに感情の反応が出ない場合などはありませんか。帰宅してから「今日のあれ、すごく失礼なことをされたような気がする」など、感情があとからやってくるような状態をイメージするとわかりやすいでしょう。
とはいえ、病気で無くても、自分で自分の感情を自覚することは、実は難しいです。感情がないのではと感じるときには自分の気持ちをノートに書いて客観的に見つめたり、安心できる相手に話をしてみると見えるものもあるかもしれません。
ただ、病名はついていますが、性格特性としての側面も強いように思います。感情が敏感でない、ということは裏を返せば強みにも成るのです。病気かも、と思っても「性格の特性」かも、とおもって付き合うのが良いように思います。
Wikipedia「アレキシサイミア」ページ:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%82%A2
疑う病気②:スキゾイドパーソナリティ障害
スキゾイドパーソナリティ障害は、「分裂病質人格障害」や「統合失調質人格障害」などとも言われていました。ちょっと難しい名前ですね。
スキゾイドパーソナリティ障害の特徴をお伝えします。
- 社会的に孤立している
- 人との触れ合いを好まない
- 興味関心が少ないように見える
- 口数が少なく静かで控えめ
- 攻撃的な行動はない
名前は難しいですが特徴を見るとわかるように、本人も周囲の人もこれによって困ることは少ないようです。病気の治療も本人や周囲の人が必要と感じた場合に行われ、必ずしも治療が必要とは言われていません。
Wikipedia「スキゾイドパーソナリティ障害」ページ:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%82%BE%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E9%9A%9C%E5%AE%B3
疑う病気③:統合失調症
統合失調症という言葉は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?周りから見て感情がないように見えることもありますが、それ以外にも症状があります。
統合失調症の症状の一部をご紹介します。
- 悪口を言われているように感じるなどの幻覚
- 会話がまとまらない、奇妙な行動をとるなど思考の障害
- 気力の欠落
- 感情表現が少なくなる
- 人とのかかわりが減る
統合失調症は遺伝や生まれつきの気質など先天的なものと、環境や病気の影響などいくつかの原因が重なって発症すると考えられています。
生まれつき感情が欠落していると感じている場合には、すべての人ではなくても統合失調症を発症する可能性があります。
「統合失調症ナビ」サイト:https://www.mental-navi.net/togoshicchosho/understand/
いかがでしたか。病気かも、と疑いだすときりがないかもしれませんが、参考にしてくださいね。では次に感情が出せない原因に迫ってみたいと思います。
感情を出せない原因は大きく2つ
感情を出せないのは「生まれつき」と「環境」に原因があると言えます。それぞれにわけてご紹介していきます。
生まれつきの場合
生まれつき感情がないと感じるときに疑う病気
生まれつき感情が薄い、と感じる場合の病気は3つある、と上で書きました。具体的には以下の3つです。
- アレキシサイミア
- スキゾイドパーソナリティ障害
- 統合失調症
また生まれつきとは異なりますが、幼いころの環境も感情を出せない・薄い原因にもなります。
たとえば、妹や弟がいた場合には「お兄ちゃんなんだから・お姉ちゃんなんだから」と我慢しなければならないこともあったのではないでしょうか?
それが知らず知らずのうちに感情を出すのは良くないことだという思い込みになっているかもしれません。
それ以外にも、素直に感情を出すことで親に怒られた経験や、感情を出しても周囲に受け止めてもらえなかった経験などが影響することもあります。
環境
幼いころは感情が豊かだったはずなのに、今は感情が薄い・欠落していると感じる原因は、人間関係を含む周りの環境が原因かもしれません。
人間関係は感情をうまくあらわすきっかけにもなりますが、時に感情の欠落・感情をあらわせない原因にもなります。
原因①:職場に苦手な人がいる
苦手な人がいると委縮してしまい、感情をうまく出せないことはありませんか?特に苦手な相手が上司や先輩だった場合、感情を出すのは難しくなりますよね。
もちろん、職場は仕事をしに行く場所なので感情を出せないとしてもそんなに問題ないかもしれません。しかし、多くの時間を過ごす職場で感情を出せないことが続くと私生活でもどう感情をあらわしていいのかわからなくなる可能性もあります。
原因②:家族関係がうまくいかない
人間関係の基盤とも言える家族関係がうまくいかないと、感情が欠落していくこともあります。
家族といえどもそれぞれの人格を持っているのでうまくいかないこともありますよね。そんな時には家族でなくてもかまわないので、自分の感情を素直に出せる相手を探すことが必要です。
SNSで自分の気持ちをはき出してみたり、電話相談を利用すると自分の感情を受け入れることができ、感情をうまくあらわすきっかけになるかもしれません。
原因③:感情を持つと辛い
なにか辛い出来事があったことが原因で、無意識に感情を持たないようにしている可能性もあります。その場合は、無理に感情を出さなくてもいいのかもしれません。
たとえば大切な人を失って悲しい時、時間が経つと自然に感情があふれてくることはありませんか?辛い時は自分が自分を守ろうとして感情を感じないようにしている場合もあります。
ただ、時間が経っても感情が薄い・欠落したままの場合はうつ病や統合失調症などの病気になっている場合もあります。様子を見てつらい場合は、病院に行くことも必要です。
感情を取り戻す対処法
最後に、感情が薄い・欠落していると感じる場合に自分でできる対処法をまとめました。
もちろん生まれつきの病気である場合や、自分自身では対処が難しい場合もあるのでその時は病院で診察を受けてくださいね。
対処法①:動物と触れ合う
私は5年ほど前から猫を飼っているのですが、ふわふわの体をなでていると気持ちが落ち着きます。言葉は通じませんが、気持ちは通じていると感じることが多くあり、とても癒されます。
感情が欠落している・薄いと自分では感じる場合にも、実はふたをしているだけでダメージを受けている場合もあります。そんな時になにも考えずに動物を見たり触ったりするととても安心すると思いますよ。
ペットを飼うことは責任も伴うので難しい!という場合もあるかもしれません。そんな時はネットで動物の赤ちゃんの写真をみる、などもオススメ。
https://www.pinterest.jp/pin/753719687608478649/?lp=true
↑ ピンタレストに飛びます
いかがですか。なんだか胸が暖かい気分になりませんか。これには愛情ホルモンと言われる「オキシトシン」が関係しています。
オキシトシンについてはこちら。写真をみるだけではなく、スキンシップができる家族がいる場合は「指相撲」などもオキシトシン分泌に効果がありますので、試してみてくださいね。
対処法②:芸術に触れる
舞台鑑賞、読書、映画を観る、絵を観るなど芸術に触れると隠れていた感情に気付くことがあります。
この時できれば芸術に集中できる環境を整えてください。映画を観る場合は可能であればDVDでなく映画館で、絵を観るのであれば美術館で観るなど集中できる環境で鑑賞するのがポイントです。
私の実感なのですが、芸術に完全に集中できる環境だとそれだけ自分の感情にも深く向き合うことができるように感じます。
いわゆる「名作」と言われる作品は本当に心が揺さぶらます。
以下は個人的な趣味ですが、私は高校生の時からアントニオ・カルロスジョビンのファンで、何度も聴き慣れた曲で未だに心を揺さぶられます。
例えば以下はとても有名なこの曲。とても美しい曲です。
Tom Jobim – Chega De Saudade 1987
言葉に言い表せない感情というものは芸術によってもたらされるのかも、と思うこともあります。
対処法③:人とコミュニケーションをとる
今の自分と利害関係のない人とコミュニケーションをとると、自分の知らなかった感情に気付くことがあります。
お休みの日にちょっと遠出したカフェの店員さんや、何かのセミナーで偶然隣になった人などとのコミュニケーションが感情を取り戻すきっかけになるかもしれません。
積極的にコミュニケーションをとれとは言いませんが、時にはそんなコミュニケーションを楽しんでみてください。なにかのきっかけがつかめるかもしれません。
対処法④:ノートに書き出す
ノートに書き出してみると、不思議と自分の本当の感情に気付くことがあります。
日記のように毎日継続して書く必要はなく、何か少しでも感じたときに書いてみてください。今は感情が薄いと感じていても、実は感情が欠落してはいなかったと気付くかもしれません。
感情を書き出すことの有用性についてはこちらの記事にかきました。記事の後半の方ですが、認知行動療法という方法の実践について書いています。
うつ病などにはとても効果的、と言われていますし、私も自分の感情に向き合うのに実践しています。
感じたことを書き出す、ということを実践すると以外な自分の感情に明確に気づくことができます。
まとめ
いかがでしたか?感情が欠落していると感じるのには「生まれつき」と「環境」に原因があるとご紹介しました。生まれつき感情が薄い・感情がないと感じている方は下記の病気の場合もあります。
- アレキシサイミア(失感情症)
- スキゾイドパーソナリティ障害
- 統合失調症
また後者の環境の場合は下記の原因を疑ってみてください。
- 職場に苦手な人がいる
- 家族関係がうまくいかない
- 感情を持つと辛い
そして最後に自分でできる対処法についてもご紹介しました。
- 動物と触れ合う
- 芸術に触れる
- 人とコミュニケーションをとる
- ノートに書き出す
感情は、命には関わらないとはいえ人生を豊かに生きていくために必要なものです。最近感情が欠落している・出せないと感じる場合には見過ごさず、ぜひ適切な対処をしてみてくださいね。