
仕事に行きたくないのは誰にでも起こること。辛い、逃げたいと思うこともあるでしょう。それは自分が弱いから?自分が足らないから?甘えがあるから?いえ、そうではありません。自分を責めるのは一旦お休み。専門家に相談する、という選択肢もあるのです。
ここではストレスの定義を改めて見ていき、ストレスをためるとどうなるのか、また私の心療内科通院体験を書いてみたいと思います。
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労働者のストレス状況
仕事が辛い、逃げたい。寝たら朝が来るのが怖い。わかります。働くことは激烈なストレスとの戦い。
平成24年労働者健康状況調査(5年毎の実施)によると、労働者のうち、6割を超える人が何らかのストレスを抱えていることがわかります。また、内訳としては、職場の人間関係が最も高いことがわかります。

出典:http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h24-46-50.html
最もな数字です。人間関係が悪くなければ、案外仕事が過酷でも働けるものです。
いじめやパワハラも多い
別の調査ですが、厚生労働省は平成29年4月に、「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の結果を発表しました。その結果、3人に1人がパワハラ被害を受けたことがあるということ。
出典:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000163573.html
驚愕の数字です。予想以上に多くの方がパワハラを受けている現状があります。数字を見れば一目瞭然ですが、あなたが感じているストレスはパワハラではないかもしれません。
しかし、6割以上の労働者が仕事上のストレスを抱えているのです。
真面目なあなたは歯を食いしばって「それでも行かなければ、頑張らないと」と思っていませんか。しかしちょっとだけ深呼吸してみましょう。あなたの感じているストレス、放っておくと大変なことになります。
「体が資本」とはよくいったもの。体を壊してまで働くのはストップ。メンタル不調に陥ると大変な事態に発展することも有ります。
ストレスの定義
ところで、あなたはストレスの定義を説明できますか。ストレスを溜め込むとどのようになるかを説明する前に、まずはストレスの定義から見ていきたいと思います。
「ストレスとは、外側から圧力を加えられたときに生じる歪みやへこみ」
よく例えられる例がゴム風船です。ゴム風船を指で押すとへこみます。このへこんだ状態をストレスがかかった状態と思うとわかりやすいでしょう。
ストレスがかかった状態は適度であれば、人間にとってよい影響をもたらすと言われています。
「スタンフォードの自分を買える教室」で有名なケリー・マクゴニガル氏は、ストレスは体にとって有害なだけではなく、付き合い方次第ではエネルギーに変えることができる、と主張しています。
ストレスを溜め込むとどうなるのか?
しかし、過度なストレスがかかった状態はどうでしょう。先ほどゴム風船の例で例えるならば、適度にへこんだ状態からさらに圧力をかけると割れてしまいます。爆発してしまう恐れがあるのです。最悪の場合、死に至ることも。その名を「キラーストレス」と言います。
キラーストレスとは「キラーストレス」という名前のストレスがあるわけではなく、ストレスがたまりにたまった状態で、体に重篤な状態を引き起こすことを意味する総称です。
ストレスを感じた時、副腎ではコルチゾールという物質が分泌され、通常は脳で吸収されますが、一定量を超えると脳の海馬という部分を破壊します。うつ病にかかると海馬が縮小することはよく知られています。
参考文献:大人のメンタルヘルスの常識
ストレスはよく以下の図で説明されます。

真ん中のエリアが「適正」エリアとされています。ストレスに適正、という概念があるのか、ということをおもうかもしれませんが、このエリアがケリー氏の言う、エネルギー化可能なレベルなのかもしれません。しかし、右端のエリアにいる状態が続くと、死に至ることがあります。あなたは今どのエリアに位置していますか?
気軽に心療内科を利用しよう。
あなたは「心療内科」「精神科」と聞くとどのようなイメージがありますか?なにかとても自分から縁遠いもの、というイメージを抱いている方は少なくないと思います。あなたは心療内科、精神科を受診することにたいして以下のような思いを感じていませんか?
- ためらい
- うしろめたさ
- 恥
多くの方は「メンタル不調」で通院することにたいして上記のような心理的な壁があることでしょう。しかし、診療内科、精神科受診に対して臆することは全くありません。
私の心療内科体験をお話致します。
私は10年以上、体調不良で悩んでいました。わたしの場合、明確に「メンタル不調」という自覚はなく、(今思えば精神的にはしんどかった)体調不良として外来を探していました。症状は以下です。
- 慢性疲労感
- 頭重感
- 倦怠感
- 熟睡できず明け方朝早く目が覚める
実に10年以上、上記のような症状が続いておりました。毎日続くので、寝ているのに疲れが取れない状態。朝はまるで死人。夕方にかけてやっと症状が軽くなります。朝が一番パワーに満ちている(はずの)普通の人と逆なんです。ネットで色々しらべました。
「慢性疲労症候群」を疑い、通院したことや、「睡眠時無呼吸症候群」の検査をしてもらったこともあります。しかし、どれもあたらず、症状は一向に安定しませんでした。
そうこうしているうち、仕事でいよいよ精神的に落ち込んだ時期がありました。思い切って自宅近所の心療内科を受診してみようと思い立ったのです。自宅近所で通院できる病院を探してみて、驚いたことは、心療内科を受診する人が実に多いということ。
近所に何件か心療内科があるのですが、予約で一杯で、行きたいと思うときに受診できないのです。それくらい、需要があるのです。結局、私は予約が不要で受診しやすい、という理由で家からも3分くらいで行ける距離にある心療内科に通い始めました。
初めての心療内科。
「Kirrinさん」名前がよばれたので、おっかなびっくり、診察室にはいりました。
先生は見たところ50代くらい、落ち着いた雰囲気の優しそうな方でした。
先生「どうされました」
私「実は仕事上の悩みなのですが、会議の席などで、周囲の人間が理解しているのに、自分だけ会話についていってないことがあるような気がするのです。注意力散漫で、会議の最中、別のことを考えていることがほとんどで、PTSD、ていうんですか?あの病気じゃないかな、とおもっているんです」
というようなことを相談したように記憶しています。
「PTSD」といっていますが、当時の私は病名についての正確な知識が無くADHDのことをPTSDと勘違いしていたのです笑。結果的にはADHDともPTSDとも診断されませんでした。発達障害の診断をするには専用のテストをうける必要があるんですね。
先生はその場で、「テストをしますか?」ともおっしゃいませんでした。どうやら方針のようなのですが、「発達障害」というくくりをすることに懐疑的なスタンスをとっていらっしゃるのです。
「その人のもつ特徴みたいなもので、けっして障害や病名としてつけるのが適切か、というと僕はそう思っていません。」との見解を示して頂きました。
最終的には以下のような説明をしてくださいました。
「不安になりやすい性格をされているようです。不安を軽減するゆるいお薬を出しておきます。眠りの質もよくなります。働いている人の2~3割くらいの人はこれをのんでいますよ」
出されたお薬はADHDの症状向けのものではありませんでした。まあ、騙された気持ちでのんでみるか、という思いで飲み始めたところ、なんと10年来の疲労感が回復。朝のしんどさが消えたのです。寝ているのに疲れが取れていない、ということはなくなり、症状が軽くなったのです。劇的ではありませんが、明らかに改善していることがわかりました。
このお薬は現在でも服用しています。
話がそれてしまいましたが、何が言いたかったかというと、心療内科、精神科を受診することは恥でもなんでもありません。しかし日本ではまだまだ、精神の病気への理解が進んでいないのが現状です。
会社で「精神薬を飲んでいる」と堂々というと、「昇進や昇格に影響するのではなかろうか」という不安もあることでしょう。よく理解できます。
しかし、何も臆することはありません。通院がバレることはありません。医師には守秘義務があるのです。あなたが、ちょっとしんどいなと感じたら、コーピングなどでストレスコントロールを上手にできているならば別ですが、そうでなければまずは専門家に相談するのは解決への最も近道かと思います。
まとめ
- 労働者の6割以上がストレスを抱えている
- パワハラ、いじめも多い。3人に一人が経験している
- 適度なストレスはよい影響をもたらすもの
- 過度なストレスは死に至ることも
- 辛いときはまずは専門家に相談をしてみること。一人で悩んでいても解決にならない。
仕事がつらい、逃げたい、という思いは誰にでも訪れるもの。甘えではありません。ストレスを感じたら気軽に心療内科・精神科を受診してみましょう。余談ですが、アメリカでは「サイコロジスト」という職業が有ります。日本でいうと臨床心理士が近いようです。
アメリカ人はカウンセリングを受けることは日本では比べ物にならないくらいカジュアルに利用されている様です。日本でも臨床心理士に相談することももちろん可能です。心療内科は診察、臨床心理士は相談、という切り分けで利用するのも良いでしょう。
最後にもう一度。仕事でしんどくなったら、一人で悩んでも解決しない。早めに専門家に相談して、解決していきましょう。