
人事異動は目的もメリットもちゃんと有ります。なんとなく行う人事異動はありません。あなたがもし、人事異動を受けたなら、是非前向きにとらえて応じましょう。その際、お世話になった部門にはしっかり挨拶をしていきます。
挨拶のスピーチをする際のポイントをまとめてみました。また、あなたから異動を願いでることもあるかもしれません。その際の理由を例文つきで説明致します。一緒に見ていきましょう。
Contents
人事異動とは
人事異動とは、会社が、社員に対して、配置・地位、勤務状態の変更を命ずることをいいます。
参考:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E7%95%B0%E5%8B%95
具体的には、役職がついたり、逆になくなったり、職場の変更が行われたり、勤務地が変わったり、等級が上がったりすることをイメージするとよいですね。これらをまとめて人事異動と呼びます。
しかし、一般的には、配置換えを指すことが多く、ここでは、人事異動の定義を配置換え、としてお話致しますね。
人事異動と聞くと、ドキッとするあなた。その気持わかります。従業員にとっては、慣れた仕事や人間関係を奪われてしまうという意識をもつ人も中にはいらっしゃいます。
しかし、それでも、人事異動は必ず行われます。これは目的とメリットがセットあるからにほかなりません。
人事異動の目的
人事異動には目的が有ります。それも、一つだけではありませんし、一言で言うのは困難ですが、一つ言えるのは経営によい影響を与える施策である、ということです。
1.人事異動の理由 人材育成
企業は特定の分野に特化した人材を沢山ほしいわけでは有りません。もちろん、専門性に特化した人材は必要です。
しかし、専門職と総合職、という言葉があります。総合職採用は基本的に幹部候補の場合が多いです。
そのため、人事異動を行い、沢山の職場を経験し、会社のことを横断的に見ることができる人材を育成する、という目的が有ります。
これは、社員にとってもとてもメリットのあることであるとおもいませんか。
あなたは将来の会社を背負う人材なのです。会社のことをよく知って経験してもらい、将来は役員になってもらいたい、という思惑があると思います。
2.人事異動の理由 組織戦略の実行
社員から見た人事異動は自分の事としてしか、とらえづらいものですが、組織は戦略の実行がミッションです。
そのミッションを遂行するためには人材が必要です。その人材が常に潤沢に揃っているならば、人事異動はあまり必要ないのかもしれません。
しかし、人材は育成することで、能力を伸ばすことが可能です。人材育成と組織戦略の遂行はセットであるといえるでしょう。
育成をすることで、組織戦略に必要な人的資源を獲得することができるのです。
人事異動をすることは組織にとってもメリットが大きいのです。
3.人事異動の理由 組織の活性化
人事異動はプチ転職のようなもの。組織にとっても、本人にとっても多少のショックを伴うものです。あたらしい仕事、あたらしい人間関係。不安が一杯ですね。
しかしながら、人事異動は組織にとってもチャンスなのです。人が変われば仕事は変わります。そのことで組織にとってメリットが出る場合は大変多いといえるでしょう。
4.人事異動の理由 過度の専門化の抑制
仕事に完璧を求める人がいます。あなたはどうですか。私は仕事に正解はないと思います。正解はないからこそ、完璧を追わず、7割程度の出来で、スピード感を持って複数の人数で協力して進めていくことが、仕事を進めるキーではないかと思います。
過度の専門性はしばしば方向を誤ります。私は20年以上、同一部門で働いている人を何人か知っています。彼らは高い専門性を身につけ、ある分野ではプロフェッショナルです。
しかし、会社の一分野しか知らない為、全体最適の発想に限りが有ります。会社にとって技術職はプロフェッショナル人材が必要です。しかし、総合系の人材でプロフェッショナルを育成することはメリットがあまりありません。
5.人事異動の理由 モチベーション管理
モチベーションはどの様に形成されるのでしょうか。私は挑戦と変化であると思います。これは全くの主観ですが、新たなことに挑戦するのは、大変刺激的です。
それも少し難しく、背伸びをしなければ達成できなさそうな内容がちょうど良いですね。過度に難易度が高いことや、逆に低い内容はモチベーションを下げます。
また、変化はモチベーション源になります。ストレッチを効かせて頑張ったことがよい成果に結びつく。あるいは逆の場合も同様です。何かきっかけがあり、結果が生まれるという一連のプロセスをあなたがコントロールしている、という状態はあなたにモチベーションをもたらすことでしょう。
上にも書きましたが、人事異動はショックを伴うものです。やり方によっては退職者をだすことにもつながります。
実際、私も人事異動をきっかけに転職しました。これは会社にとっては、デメリットを生んだケースでしょう。何しろ社員を失うのですから。しかし、上手な人事異動は長い目でみると、モチベーションを上げます。
会社の業績は社員の高いモチベーションに維持されていると言っても過言ではありません。ある意味で、人事異動は人事部門の仕事の中で、最もクリエイティブな仕事の一つであるとも言えるでしょう。
人事異動の挨拶のスピーチ3つのポイント
あなたが人事異動になったら、今働いている部門のメンバーに挨拶が必要ですね。スピーチを求められることもあるでしょう。私も沢山の異動経験がありますので、それを元に例文を紹介したいと思います。
お世話になった部門にはあなたの気持ちを端的に伝えましょう。伝えたいポイントは以下の3つです。
- 感謝の気持ちを具体的なエピソードを交えて盛り込む
- どのような思いで仕事をしてきたか、人を立てながら盛り込む
- これからも一緒に頑張りましょうという意味のことを抱負を交えて盛り込む
これらのポイントを抑えつつ、具体的なエピソードを交えて語ると、聞く者の心をぐっと掴むことができます。以下の例文では、送別会での挨拶シーンを想定してみました。
~~~~~挨拶のスピーチ例文~~~~~
この度、人事異動で○○部門を卒業することとなりました。
この部門では○年間在籍し、本当によい経験ができたと感謝しております。忘れられないのは、私が○○部門に配属になってから○ヶ月目のときのことです。
○○の仕事で、少しづつ慣れて来た時、○○さんから「○※△、○※△○※△」という言葉をかけられました。
この言葉をかけてもらってから、私は仕事の仕方を振り返りました。その結果、自分は○○だった、ときづかせていただくことができました。
そして仕事の仕方を変え、結果的に、○○の仕事や○○の仕事を任せていただくことができました。僭越ではありますが、少しは成長したことを実感しています。
だんだんと仕事の幅が広がっていく中で、いつかは○○さんや○○さんのような仕事をしたい、と思いで、今日までやってきました。
今回、○○部門を卒業することとなりましたが、皆様と一緒に成長できたことを誇りに思っています。
○○部門へ異動することとなり、立場は変わりますが、また皆様と一緒に、違う形で関わり会うことになることを楽しみにしています。
本日はありがとうございました。そしてこれからも、よろしくお願いいたします。
~~~~ここまで~~~~
いかがですか?アレンジして使ってみてください。なお、スピーチする時は感情を込めて伝えましょうね。きっと貴方の思いは伝わります。
人事異動を願いでるなら異動願いを出す
もしあなたが、人事異動を望んでいるなら、異動願いを出してみることも手段の一つです。ですが、異動願いという書式は会社が用意していないケースが多いです。なぜなら、社員が異動を願い出るケースをのそもそも想定していないからです。
多くの社員は人事異動は命じられるもの、と思っています。自ら願い出て仕事を選び取るスタンスを持った社員は多くはありません。
ですので、上司もびっくりすること確実です。異動願いという書式を見るのはおそらく初めてでしょう。
そのため、異動願いという書類での申請は、よくも悪くも非常にインパクトが強いです。誰に出すか、いつ出すか、ということも考える必要があります。
上司に直接出すのが必ずしも正解ではありません。そもそも、上司のマネジメントが原因で貴方が異動を願っている場合も有ります。
その為、上司に「あなたが嫌だから異動させてください」と書面で伝えると、人間関係の悪化は目に見えていますね。人事部に直訴、という形をとることも考えてみましょう。ここでは、人事部に直訴する形での例文をテンプレート付きで用意致しました。
正式に書式として提出する異動願は、人事部門から役員層まで回る可能性があります。その為、ネガティブなことをストレートに書くのは悪い印象を残してしまう可能性も有ります。
文章に残って問題がない文面にしましょう。その上で貴方の思う本当の異動理由は、面談の場を設けてもらって説明するようにします。
~~~理由の例文~~~
私は現在の部門で〇〇の業務に携わりました。この度、○○部門での経験を積み、自らのキャリアを積み上げて行きたく、異動を願い出ます。何卒、ご配慮頂けますと幸いに思います。よろしくお願いいたします。
~~~~~~~~~~~
理由はあっさりとで良いと思います。この文章だけでは本当の理由は正直わかりませんが、文書で本音の理由を伝え、文書で異動を実現させるのが本当によいか、というとそれは違うでしょう。
人事異動願いを提出したあと、人事部門の方に、面談の機会を希望していることを伝えましょう。この時、面談を申し込むのは、ある程度、意思決定をできる課長以上のクラスの方がよいと思います。
この場を設定していただくとあなたが本当に思っていることを説明する場となります。
人事異動を願いでる時期
人事異動を願い出るならば、時期を考えます。定期の人事異動の直後などがよいタイミングでしょう。
貴方の会社の定期人事異動の時期はいつでしょうか。おそらく、春と秋の2回あるとおもいます。春なら4月、秋なら10月、という設定になっているケースが多いですね。
この時期を想定し、人事部門の動き方を考え、実施する側の立場にたってみましょう。
通常、人事異動は、実施する何ヶ月も前から、じっくり案を練ってから関係部署との調整も行いながら、計画的に進めます。そのため、人事異動の時期の直前に願いが提出されると、すぐに計画に落としこむことは困難です。
異動が実現するらば、半年以上先になるかもしれません。少しでも人事部門が人員計画に落とし込みやすい時期に出すのがよいです。
異動願いを上司に出すときの時期
上司との折り合いが良ければ、上司に提出するのが順当です。これは、年に1回から2回の面談の際を行うとよいでしょう。人事考課を行う春と秋は、上司と部下が一対一で面談を行います。
このタイミングを狙うのはよいですね。上司は、このタイミングで、部下の考えていることやキャリアビジョンなどを把握致します。
部下との面談の中で、「何か出てくるかもしれない」という、上司側の心の準備も出来ていますので、この面談はチャンスです。
ここで貴方が異動をしたい理由を説明しましょう。キャリアアップなどを理由に説明するのはよいとおもいます。
まとめ
人事異動の目的やメリットをみてきました。人事部門が苦労して異動の計画を立てていることがおわかり頂けたかと思います。
お世話になった部門への挨拶スピーチはポイントを押さえ、感情を込めて話ましょう。きっと心を掴むことができるはずです。
また、あなたから人事異動を願いでる際の例文を見てきました。理由にはネガティブなことは避けましょう。必ず口頭で説明をする面談の機会を作ります。
あなたから、説明の機会を願いでることは人事部門にとってもありがたいこと。社員の実情を把握せずに行う人事異動はとても危険であるからです。
以上、人事異動について見てきました。異動はショックを伴うものではありますが、あなたに取って、メリットも多いです。前向きにとらえていきましょうね。