働き方

契約社員の雇い止めで裁判に!?雇い止めを撤回させる6つのポイント

契約社員という立場で働いているあなた。常に雇用不安と隣合わせでは働いていませんか?会社の業績が悪化したらいつクビになるか・・」「今期で契約を切られたらどうしよう」などの不安がどこかにあるのではないでしょうか?

本記事では、そもそも契約社員とは何か?また、雇い止めで裁判になった例を紹介しながら、雇い止めを撤回させる6つのポイントを解説。また、会社員でも、企業や事業主でもない、第三の働き方を紹介致します。-

?そもそも契約社員という働き方とは

?契約社員は有期雇用契約

転職活動をしていて、「試用期間3ヶ月」などと書かれている求人要項。よくありますよね。この場合「試用期間中は契約社員」扱いとなることがほとんどでしょう。

では、そもそも契約社員とはどのような働き方なのか?改めてまとめてみました。

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契約社員は「1日の所定労働時間及び1週の所定労働日数が正社員とほぼ同じで、期間の定めのある契約に基づき直接雇用されている者」(東京都産業労働局)と定義されています。ほぼフルタイムで働く有期雇用労働者という意味ですね。しかし、比較してみると、契約社員は圧倒的に不利な立場に置かれていることが分かるでしょう。

では働く上でメリットはあるのでしょうか。

  • 労働時間、労働条件、勤務内容、仕事内容などを使用者と相談して選択できる
  • 時間外労働・異動・転勤がないことが多い

上記のように、ある程度自分のライフスタイルにあわせた働き方ができることが特徴です。

しかし実際のところ、時間外労働や異動はグレーになりやすい部分ではないでしょうか。

契約社員なのに、残業や異動がある例もちらほらあるようですね。では、法律上では、どのようになっているでしょうか?

仕事に差がなければ、待遇も差をつけてはならない

以下のリンクを見てください。

参考資料:http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/gaiyou.pdf

平成24年に労働契約法の一部が改正されました。ポイントは「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」の内容です。要約すると、仕事内容や転勤の有無などで正社員と変わらない働き方をしているのに、有期雇用を理由に待遇を低くするのは駄目です、という内容ですね。

試用期間中の待遇の差はどうなる?

正社員登用前提で試用期間の「契約社員」は微妙な感じがしませんか。多くの募集要項には「試用期間中の契約社員期間は正社員の待遇に差はない」などと記載されていることが一般的です。しかし、賞与や退職金が支給されないということがあります。

私は正社員前提の契約社員で働いていた時期がありました。その当時は正社員と働き方に差はありませんでしたし、むしろ「他の部門の正社員よりよく働いている」くらいに思っていました。しかし「待遇に差」がありました。退職金の有無です。ここは大きな差であると思ってよいでしょう。

我慢していましたが、その期間中の不満や不安は大きかったことを覚えています。言いたいことも言えない。言うと危険視され、正社員になれないのではないかという恐怖感がありました。その意識が強く、今にして思うと常に上司の顔を伺っていたように思います。正直あまりよい思い出はありません。契約の事を考えながら仕事をするのって、辛いです。

以下は全くの私見ですが、正社員前提であろうがなかろうが、契約社員である期間中は正社員と働き方に差がないと、不公平である、と思います。同一労働同一賃金ではないですが、同じ働き方で正社員の担当する仕事に比べて軽いわけではないのに、待遇だけ悪いのはあきらかにおかしいのでは?

「試用期間中だから業務遂行能力を見るために、正社員と同じ業務を割り振る」と言われてしまえばそれまでのように思いますが、なんとなく釈然としませんね。

「契約社員はいつでも雇い止めをしてもよい」は間違い

雇い止めが有効か、判断するときの6つのポイント

さて、あなたが契約社員であり、「今回限りである」と言われた時、パニックになってしま

いますよね。雇い止めには、その雇い止めが有効か、判断基準があり、個別に判断が異なってきます。

過去に雇い止めを巡って争われた裁判例では、以下の6つのポイントを総合的に勘案し、雇い止めの有効・無効を判断しています。

(1)業務内容が正社員と同等のものか

  • 業務内容が恒常的であり、 臨時的な側面が弱い場合
  • 正社員とほとんど同じ仕事をしていた場合
  • 管理職などの地位にいた場合

上記に該当する場合などは雇い止めが認められにくくなります。

(2)契約更新の回数がどの程度か

雇い止めまでの契約回数が多いほど、更新の期待も高まりますし、その期待を保護する意味でも雇い止めは認められにくくなります。

(3)通算勤続期間がどの程度か

勤続年数が長いほど、雇い止めが「解雇」に近い側面を帯びます。ここでも、更新への期待が高まり、保護の必要性が出てきます。

(4)契約更新手続が厳格か(形骸化していないか)

契約終了日前に面談をし、契約書をキチンと交わす、という厳格な運用でなく、契約終了日を随分過ぎてから忘れていたかのように、契約書が書面で送られてきた、などという場合であれば、労働者としては、契約更新が形式的なものとして認識され、自然と契約更新が前提とされていたものとして認識します。この場合も雇い止めは認められにくくなります。

(5)雇用継続に関する使用者の言動

契約を更新するなどの期待を持たせる発言などがあったか

使用者が継続を期待させるような発言をしていれば労働者も期待が高まります。あるいは、契約更新時に面談を実施しており、「来年は更新しないよ」と明言していると雇い止めは有効である可能性がでてきますね。

(6)他の労働者の更新状況(同等の条件で働くものの扱いが同様か)

他の有期雇用の方の更新も同じように、更新がされていない場合も判断の材料になります。あなただけが雇い止めにあっているのであれば、無効になる可能性は高くなります。

参考資料:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1209-1f.pdf(有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準)

あなたの働き方はどのタイプ?

上記の6つの判断軸を踏まえ、契約社員を大きく4つのタイプに分類することができます。どのタイプに分類されるかによって、雇い止めの有効・無効が別れるでしょう。

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あなたはどのタイプに当てはまるでしょうか。もし仮に、裁判だ!となった場合は過去の判例から類推して判決が下ることとなるでしょう。参考にしてみてください。

裁判になった最近のニュース

最近、興味深いニュースが報道されていましたので、紹介致します。平成29年6月のニュースです。

参考資料:http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20170605/3980131.html

大手製薬会社の契約社員が「正社員にきつい物言いをされ、胸ぐらを掴んだ」ことをきっかけに、仕事を与えられなくなり、契約の更新もされなかった。という内容です。

誤解されないように記載しますが、私は「どちらが正しい」という議論をするつもりはありません。裁判はどのように決着するかわかりませんが、すべて私見ですが、ポイントをまとめてみました。

3年前から働いている(反復更新がされており、当然今回も更新されるだろう期待があった)

反復契約があり、本人が会社を訴えるにまで至っている、ということは契約期間終了後も継続して雇用関係が続く、恒常的な仕事内容であり、実質的な無期契約だったのではないでしょうか。

正社員の胸ぐらをつかむトラブルを起こしたが、収束した

正社員であれば、「胸ぐらを掴んだ」ことでは、就業規則に従って、「譴責」(けんせきとよみます。悪い行いや過失などをいましめて責めること。)程度で済んだであろうと思うのは私だけでしょうか?報道をみている限りでは、契約社員でいらっしゃるということを理由に雇い止めに至ってしまった、というようにとれます。

ただし、契約の更新の有無の中に、更新をとめる基準が明記されており、該当していたならば、別かもしれません。

仕事を与えられない状態が続いた(パワハラに該当)

会社側は「与える仕事が少なくなった」と説明しており、「与えられなかった」という主張とは若干異なります。「与えない」と「与える仕事がすくない」というのは大きく異なると思いませんか?本人は「会社にいき、パソコンを立ち上げているだけの状態」との弁です。

また、会社側も「与える仕事が少なくなった」と語っていることを考えると、「遂行する仕事が極端に少ない状態であった」ことは事実であると推察できます。

私には、上司側に、仕事を与えない意図があったように見えてしまいます。もしそうであるならば、パワハラ行為に該当する可能性がありますし、その行為の結果、「業務能力が著しく低劣で・・・」などと理由をつけて解雇するのであれば、少しハテナがつく部分もあるようにも見えますね・・

報道されていない事実がどのくらいあるのかも判断の分かれ道となるような気がします。

どのような帰結となるかが注目されるところです。

経営者はヒトを大切に!

上記に見てきたように、契約社員を雇い止めすることは実は厳格なルールが必要であることがわかります。しかし、そもそも、会社側はなぜ契約社員を作るのでしょうか?それは、人件費抑制の側面と、雇い止めがすぐできる(と思っている)からに他ならないと思います。

正社員の採用は会社にとってコスト、と考える経営者は多いでしょう。契約社員の扱いをしっかりと厳格に運用していない会社も多いと推察致します。会社側にしっかりとした知識がなければ、グレーになりやすい部分ですので、契約社員になったら、しっかりとリテラシーを高めておきたいものです。

以下は私見ですが、人材は組織を支える宝かと思います。コストがかかるように見えますが、適材低所に配置すると、育つのです。ある程度の時間をかけて人間が育ち、能力が伸び、ゆっくりと熟成され、よい職場が出来上がるのではないか、と思います。経営において、ヒトは大切な資源。経営者の方には、ヒトを大切にしてほしいですね。

新しい働き方もある

雇い止めの正当性やヒトを大切にすべきだ、ということを偉そうに述べました。しかし、もしもあなたが、不幸にも雇い止めに合ってしまった場合、新しい働き方をするチャンスかもしれません。

社畜もフリーもイヤな僕たちが目指す第三の働き方』 佐藤 達郎 多摩美術大学教授 著作

この本の中では、様々な働き口(=モジュール)を自分で選び、自由に組み合わせて同時並行的に進めていくという「モジュール型ワーキング」を提唱。

私も読みましたが、大変共感致しました。もしかしたら、不安定な働き方だ、という印象を持つ方もおられるかもしれません。しかし、私は、サラリーマンも同様に不安定な働き方であると感じます。会社で「出世コース」に乗ったとしても、上司に嫌われてしまう、あるいは生理的にあわない。などはいつでも起こり得るのです。

人口構造が大きく変わり、終身雇用制が崩れつつある現代です。上に述べているような非正規雇用労働者は増えています。総務省統計局によると、以下のようになっています。

  • 正規の職員・従業員 3367万人
  • 非正規の職員・従業員 2023万人

参考資料:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000120286.pdf

(平成28年年)

つまり、4割近くが非正規雇用であるという現状があります。全労働者に対する非正規雇用の比率は、ここ2~3年は鈍化しているものの、年々増加しており、現時点では過去最高に達しています。

正規職員になりたくてなれない方もおられるでしょう。その状況を逆手にとってしまい発想の転換をするのも現代の働き方の一つかもしれませんね。

まとめ

  • 契約社員はほぼフルタイムの有期雇用契約である
  • 契約社員といえども、雇い止めは簡単でない
  • 雇い止めを宣告されたら、6つのポイントを振り返り、会社と話をする材料をあつめよう。
  • 収入源を複数もつのも働き方だ(モジュール型ワーキング)

今回は契約社員の働き方について、裁判になった例を紹介しながら、新しい働き方の紹介を致しました。現在、働き方というのはかなり多様化してきており、「正社員で定年まで」という価値観は沢山の選択肢の一つでしかなくなっている気がします。

例えば、旅で稼ぐ、という働き方もあるんです。もしあなたが働き方で悩みを抱えているなら、働き方を見直してみるのは人生を変えるよいきっかけになるかもしれませんよ。

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