
年末調整の季節になると、会社から用紙が配られますよね。
特に生命保険料控除はわかりにくいと思います。家族が契約者になっている場合、本人の所得から控除できるのか!?計算式もみていきます。
また、扶養控除等(異動)申告書の書き方がわからない!こちらも心配いりません。コツさえつかめば難しくありません。書き方を迷いがちな「続柄」欄についての解説もあわせて一緒に見ていきましょう。
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生命保険料控除とは
まず、生命保険料控除とは、以下の保険料を支払ったときに、課税所得を低く押さえることができる控除のことです。種類は以下が有ります。
- 生命保険料
- 介護保険料
- 医療保険料
- 個人年金保険料
民間の生命保険会社などに支払う保険料が対象です。社会保険料とは異なります。
生命保険料控除の対象の保険
生命保険料の控除対象になるものは大きく分けて以下の2種類です。
- 生命保険・介護保険・医療保険
- 個人年金保険料
逆に、以下の保険契約は生命保険料控除の対象になりませんので注意です。
- 貯蓄保険や貯蓄共済といわれるような保険期間が5年未満の保険契約
- 外国の保険会社と日本国外において締結したもの
- 信用保険契約、傷害保険契約、財形貯蓄契約、財形住宅貯蓄契約、財形年金貯蓄契約など
保険料控除の対象かどうか確認するには?
あなたの入っている保険契約は生命保険料控除の対象になるのでしょうか?簡単です。
10月頃から保険会社からはがきで保険料控除証明書が送られてきます。
これは大事なものです。このハガキを年末調整や確定申告の用紙に添付して提出しないと、控除してもらえません。
さて、保険料控除の対象になる保険がわかりました。では家族、父や母、配偶者が名義人になっているが、自分の保険料控除ができるのか、という疑問がでますね。では見ていきましょう。
家族名義の保険契約を自分の所得から控除したい
これは契約者が誰か、ということではなく、保険料を誰が支払っているか、という点がポイントです。生命保険の控除の対象の条件は以下のいずれかです。
- 保険料を支払っており、かつ本人が受取人である
- 本人が保険料を支払っているが家族が生命保険契約または、介護保険契約、医療保険契約、個人年金保険契約
つまり、生命保険料控除は、たとえ契約者が誰であれよいということなります。このとき、控除したい本人が保険料を支払っていることを証明することをもとめられることが有ります。これについては後述いたします。
参考に・・
一般生命保険料控除・介護医療保険料控除の対象は以下の契約です。
引用:
保険金受取人が、契約者かあるいは配偶者、その他の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)である保険の保険料。
個人年金保険料控除の場合は以下。
引用:
年金受取人が契約者またはその配偶者のいずれかであること。
年金受取人は被保険者と同一人であること。
保険料払込期間が10年以上であること(一時払は対象外)。
年金の種類が確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上であること。
保険料の支払いの事実を証明するには?
例えば、妻が保険の契約者で、夫の控除にしたい場合は夫名義の口座から妻名義の生命保険料が引き落としされていることで、保険料控除の対象となります。
これは年末調整の際、会社から求められることが有ります。会社ではなにも無くても、税務署から質問される場合もあるかもしれません。その場合も同様に、通帳のコピーを提出すると証明になります。
参考元:国税庁のサイトを参考に掲載しておきますね。ここで、生命保険料控除の新旧制度を説明しておきます。
生命保険料控除には新旧制度がある
生命保険料控除は新旧の制度があり、控除対象にする生命保険などをいつ契約したか、で控除の上限に違いが有ります。
旧制度とは
平成24年1月以前に契約した保険です。以下の保険契約の年間の支払い保険料がそれぞれ5万円が上限。合計10万円を上限として控除されます。
- 一般生命保険料控除 5万円
- 個人年金保険料控除 5万円
新制度とは
平成24年1月以降に契約した保険
それぞれで4万円が上限で、最大で、合計12万円が控除されます。
- 一般生命保険料控除 4万円
- 介護医療保険料控除 4万円
- 個人年金保険料控除 4万円
つまり、控除したい本人がすでに控除額の上限に達してる場合は、配偶者名義の保険料の控除申請をしても控除になりませんので、意味がありません。
また、生命保険も個人年金も、支払い人と被保険者と受取人が異なることで、それぞれ、課税のされ方が違ってきます。ここについては、しっかり知っておきましょうね。機会があればいずれ書きますね。
生命保険料:
なお、保険料を誰が負担するかによって、将来受け取る保険金の課税関係が異なる(贈与税又は一時所得として課税が生じる)ことに注意が必要です。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/35.htm
個人年金:
保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合には、保険料負担者から年金の受取人に対して、年金を受け取る権利が贈与されたものとみなされ、給付事由発生時点で贈与税が課税されます。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1610.htm
生命保険料控除の計算方法
さて、つぎは生命保険料の控除を実際に計算します。
生命保険会社から送られてきた、「生命保険料控除証明書」を用意してください。使用する用紙は「給与所得者の保険料控除申告書」です。記載例もこちらにのせておきますね。この用紙に下記の事項を記載します。
- 保険会社等の名称
- 保険等の種類
- 保険期間又は年金支払期間
- 保険等の契約者の氏名
- 保険金等の受取人の氏名、あなたとの続柄(受取人はあなた又はあなたの配偶者や親族に限ります)
- 新契約か旧契約かの区分
- あなたが本年中に支払った保険料等の金額
「あなたが本年中に支払った保険料等の金額」は、書いた日までに支払った金額ではなく、その年の12月31日までに支払うことになる、保険料支払額を書きます。
控除額の計算式は新旧の契約によって適応する計算式が異なります。
計算式と言っても簡単です。支払った保険料によってあてはめる式が若干づつ異なるだけ。
- 新契約:計算式Ⅰ
- 旧契約:計算式Ⅱ
計算式Ⅰ(契約日が平成24年1年1日以降である契約)
年間の支払保険料等 | 控除額 |
2万円以下 | 支払保険料等の全額 |
2万円超4万円以下 | 支払保険料等 × 1/2 + 1万円 |
4万円超8万円以下 | 支払保険料等 × 1/4 + 2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
計算式Ⅱ(契約日が平成23年12月31日以前の契約)
年間の支払保険料等 | 控除額 |
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超5万円以下 | 支払保険料等 × 1/2 + 12,500円 |
5万円超10万円以下 | 支払保険料等 × 1/4 + 25,000円 |
10万円超 | 一律5万円 |
実際の計算はシミュレーションサイトが便利
実際、計算式にあてはめて調べた結果を以下のようなサイトで計算してみると、答え合わせできますので、参考にしてください!
http://www.dai-ichi-life.co.jp/examine/deduction/tool/#step05
さて、つぎは扶養控除等(異動)申告書の書き方について書いていきます。
扶養控除等(異動)申告書とは
扶養控除等(異動)申告書とは、配偶者控除、扶養控除などを申告するための書類です。独身で扶養者のない人も書きます。ここでは、扶養控除等申告書の書き方を説明しますね。
平成31年版は以下です。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h31_01.pdf
扶養控除申告書はブロックごとに何を書くか、決まっています。以下の図で説明すると・・・
- ①:あなたのことについて
- ②:扶養家族について
- ③:障害、寡婦について
- ④:子供のことについて
では順に見ていきましょう。
①:あなたのことについて
あなた本人に関することを書きます。とくに難しいことはないですが、少し迷いやすい所を書いておきますね。
個人番号はマイナンバーのことです。
世帯主の氏名には世帯主の氏名を記入します。改めて、世帯主の定義は以下です。
- 世帯:一つの家に居住し、同一生計の家族グループを指す
- 世帯主:上記のグループの中で、住民票に記載し、届け出た者が世帯主父を届け出たら父に、子供で届け出たら子供になります。
あなたとの続柄欄
この続柄欄は少し悩むことろかもしれません。ちなみに、「ぞくがら」と読むのが一般的に浸透していますが、本来は「つづきがら」と読みます。続柄の書き方は書類の作成者、つまりあなたから見てどのような関係にあるかを書きます。
あなたが単身者の場合
- あなた :本人
- 親 :父や母と書く
既婚者の場合
- あなた:本人
- 妻 :妻(夫)
- 子供 :子
- 親 :父や母と書く
あなたが独身で扶養親族がない、また、障害者や寡婦(寡夫)や勤労学生でない場合は、この用紙の記載はこれで終了です。
②扶養家族について
つづいて、配偶者・控除対象扶養親族欄です。ここはあなたに扶養家族がいる場合に記入する欄です。特に難しいことはないのですが、一点、所得欄をかく欄は、収入を書かないように注意です。記入例を赤字で書き込んでみました。
記入例

配偶者の名前を記入するのは控除対象に該当する場合のみです。
2018年の税制改正により、配偶者の給与収入が150万円に拡大されました。つまり従来は130万円までに収入を抑えていた主婦の方は150万円までは配偶者控除として38万円として認めてもらえることができることになりました。
控除対象になる場合は配偶者の所得が38万円以下の場合です。
配偶者の所得の見積額の欄には来年1年間の所得を予想して書きます。ここでの注意点は収入をかくのではなく、所得を書く、ということです。
親の所得公的年金の所得の計算は?
あなたの親を扶養に入れている場合、公的年金の収入があると思います。こちらのウェブサイトを参考に計算をすると便利です。
http://keisan.casio.jp/exec/system/1337231447
特定扶養親族、老人扶養親族とは?
- 特定扶養親族とは年齢が19歳以上23歳未満の子ども
- 老人扶養親族とは70歳以上の扶養に入れている親
- 同居しているなら同居老親等にチェック
- 別居しているならその他にチェック
非居住者とは?

控除対象配偶者が以下の場合を指します。
- 国内に住所がなくかつ1年以上国内に居所を有しない人
この場合は該当欄に○をし、「生計を一にする事実」欄に、配偶者へ送金した額を記入します。
③障害者、寡婦(寡夫)について
ここの書き方は扶養控除等(異動)申告書の裏面に詳しく記載の仕方が書いてあります。少し引用してみます。
用紙の裏面からの引用
あなたが、控除対象配偶者、扶養親族が障害者、寡婦(寡夫)、勤労学生のいずれかに該当する場合は、該当欄にチェックを入れます。
- 障害の状態又は交付を受けている手帳などの種類と交付年月日
- 障害の程度(障害の等級)などの障害者(特別障害者)に該当する事実。
その人が同一生計配偶者又は扶養親族の場合には、併せて
- その人の氏名(特別障害者であるときは同居の有無)
- 個人番号(上記2?(注)と同じ)
- 住所又は居所
- 生年月日
- あなたとの続柄
- 及び平成30 年中の所得の見積額
(これらの事項のうち「源泉控除対象配偶者」欄、「控除対象扶養親族」欄又は「住民税に関する事項」欄に記載している事項については、氏名を除き、記載を省略できます。)
これだけ書いておいて、大部分は省略可能とは・・
配偶者が障害者の場合「左記の内容」欄に、以下の3点を記入します。
- 扶養親族の名前
- 障害の程度
- 障害者手帳の交付年月日
別居している場合は「特別障害者」欄に○をします。

扶養親族が障害者の場合「左記の内容」欄に、扶養親族の名前と、障害の程度、障害者手帳の交付年月日を記入します。
複数いる場合は人数分記入して、表の小さいカッコの中に人数を書きます。
寡婦・寡夫・特別の寡婦・勤労学生
平成28年版ですが、寡婦や寡夫などの定義はこちらに書いてありますので、参考にしてください。
これらを参考にして書いてみてください。
④子供のことについて
16歳未満の子供がいる場合はこちらに記載します。
こちらは特に難しいことはないですね。欄の左はしに「平成○年うまれより以前の子供は記入します」などとガイドがありますので、参考にしてください。
まとめ
いかがでしたか?保険料控除のことについて、家族が契約者になっている場合、本人の所得から控除できました。ただし、保険の契約時によって、控除できる上限がきまっていますので、注意です。
計算式については簡単ですね。まず、控除しようとしている保険の契約年がいつになっているか、確認しましょう。
また、扶養控除等(異動)申告書の書き方で、迷いがちな「続柄」欄についても知ってしまえば難しくないですね。
書き方は難しいですが、ポイントを押さえると、大きく間違えることはないと思います。間違えがちなのは、所得を収入の違いを知らない場合ですね。
ここだけは注意しておましょう。間違えると会社の人事の人が困りますので、間違いのないように作成しましょうね!