
あなたは劣等感を感じることはありますか?日々生きていると、仕事や恋愛、結婚など劣等感を感じる出来事は多くありますよね。
記事を書いている私も、仕事が非正規であることや友達よりも収入が少ないことなど日々強い劣等感を感じて生きています。人と関わりながら生きていく限り、劣等感は消えないのではないかと感じている今日この頃です。
しかし、強い劣等感は本当に消すことができないのでしょうか?原因を知ることで消すことはできなくても少しは和らげることができるのではとの思いから、今回は劣等感の原因についてリサーチしました。
また、劣等感を感じたとき、本を読むことがオススメ。本は、今生きていない人の知恵を得ることもできますし、同じように悩んでいる人がどんなふうに劣等感を克服したのか参考にもなります。今回は、劣等感を克服するのにおすすめの本を5冊紹介します。
では一緒に見ていきましょう。
ライター:しょこここ
劣等感とは
劣等感という言葉は、大辞泉によると「自分が他人より劣っているという感情」のことを指します。では、初めて劣等感という言葉を用いたのは誰か知っていますか?
それは精神分析の父と言われるジークムント・フロイトです。彼はエディプス・コンプレックスを提唱しました。エディプス・コンプレックスとは、幼児期に父に代わって母を手に入れたい欲求があるけれども子にとって父は大きな存在であるため、この欲求は無意識に抑圧されることをいいます。
意識的にでも無意識的にでも「こうなりたい」「こうしたい」という欲求が叶えられず抑圧されたとき、劣等感は生まれるのですね。
その後も、『嫌われる勇気』で有名なアルフレッド・アドラーや、スイスの精神科医であるカール・グスタフ・ユングなど劣等感について研究した人は多くいます。
劣等感は研究対象になるほど、昔から誰もが感じていた感情だと思うとそれだけでちょっと気持ちが軽くなる気がします。
劣等感の原因5つ
劣等感がなにか分かったところで、劣等感を持ってしまう原因についてご紹介していきます。
劣等感の原因①:完璧主義
完璧主義は強い劣等感の原因になります。
自分の求めるレベルが高いため、今の自分に満足することができないからです。たとえば、以下のようなケースを見てみましょう。
- Aさん:結婚していて子どもが2人。パート主婦。
- Bさん:結婚はしていない。正社員で仕事が充実している。
どちらがより幸せだと思いますか?それぞれの希望が叶っていれば、どちらもきっと幸せですよね。
ただ、持っていないものに目を向けて、すべてを手に入れたいと思うとどちらも少し不幸に思えるかもしれません。Aさんは正社員ではないので雇用が不安定であり、Bさんは仕事が充実して安定しているけれども結婚はしていません。
自分が持っていないものに目を向けて、持っている人を見るとそれが強い劣等感につながります。仕事も家庭もすべてが完璧に手に入っていないと劣っているように感じてしまうのです。手に入っているものはたくさんあるのに、です。
対処法としては、今持っているものに目を向けることです。Aさんなら素敵な家庭があること、Bさんなら自分の満足する仕事を持ち自立していること。
持っていないものを挙げたらきりがなく、一生満足することはできません。完璧な人はいないので、完璧でない自分を受け入れることで劣等感は解消されるはずです。
劣等感の原因②:人と比べてしまう
生きている限り、人と関わって生きることは必要不可欠です。世の中にはさまざまな人がいるので、比べてしまうことはなかなか避けられませんよね。
ただ人と比べすぎると、これも劣等感の原因になります。もし地球上に自分以外誰もいなかったら、きっと劣等感を持つことはありません。
何かを作ったとして、それがうまいのかへたなのか基準になるものがないからです。人よりうまくできれば優越感を感じることもあるかもしれませんが、上には上がいるのが世の常なので人と比べることで劣等感につながることがとても多いのです。
対処法としては、当たり前ですが人と比べないようにすることです。ただ、いきなり比べるのをやめるのはとても難しいですよね。
まずは比べてしまっていると感じたときに、ぱっと気分を切り替えられるようにしていくところから始めるのがいいのではないでしょうか。
劣等感の原因③:自己肯定感が低い
自己肯定感が低いから強い劣等感を持つのか、強い劣等感があるから自己肯定感が低くなるのかは、ニワトリと卵のようにどちらが先かは分かりません。ただ、自己肯定感の低さと強い劣等感をどちらも持っていると負のスパイラルに陥ってしまいます。
さらに、自己肯定感が低いと誰かに言われた一言が気になりやすくなります。自己肯定感が高ければ特に感じない一言が原因となり、鬱などの心の病気につながることもあります。
対処法は、自己肯定感を高めることです。思考のクセもあるので、簡単に高めるのは難しいかもしれません。そんな時は、まずは興味があることにチャレンジしてみるのがいいと思います。夢中になっている自分はきっと輝いているので、自分のことを少しずつ好きになれると思いますよ。
劣等感の原因④:真面目すぎる
「真面目」と聞くとどんなイメージを持ちますか?私は初対面での印象を聞くと「真面目そうだと思った」と言われることが多いので、いつもショックを受けています。
なんだか地味と言われているような気がしてしまうのです…。仲良くなると真面目だねとはまったく言われなくなります。それもどうなのでしょう(笑)
それは置いておいて、真面目さも強い劣等感の原因となります。人の話を過度に真面目に受け止めたり物事を考えたりすると、どうしても自分の劣っているところが見えやすくなります。
対処法としては、なるべく楽観的に考えて人の話を聞きすぎないことです。自分にとってショックだった一言も、他人にとっては何気ないものだったということがよくあります。
自分にとって大切な人の言葉は大切にしつつも、他人の一言は少し流して聞くぐらいがちょうどいいかもしれません。
劣等感の原因⑤:過去の失敗体験がトラウマになっている
過去の失敗体験を何度も思い出し、あの時にできなかった自分はなんてダメな人間なんだろうと強い劣等感につながることがあります。
高校受験や入社試験など、大事な時に失敗した記憶はいつまでも記憶に残りやすいですよね。今の自分とは違っているかもしれないのに、また前のように失敗してしまうのではないかとトラウマになってしまう人もいます。
対処法としては、「過去の自分と今の自分は違う」とはっきり認識することです。日々たくさんの経験をして、人はどんどん変化しています。過去では失敗したかもしれませんが、また失敗するかは誰にもわかりません。むしろ、過去に失敗したことで成功の確率は上がっているはずです。
さて、劣等感を感じる原因と対処法をみてきました。次は劣等感を克服する為に役立つ本5選です。
劣等感克服に役立つ本5選
趣味に没頭したり、カラオケで思いっきり歌う、お酒を好きなだけ飲むなど劣等感を一時的に忘れてしまうような行動をすることも多いかと思います。
一方で、劣等感に正面から向き合い、劣等感を克服しようとする方もいます。どちらも正しいでしょう。
しかし、劣等感を感じている部分というのは自分がこだわっている部分とも言えます。逃げずに正面から向き合うことで、自分自身について知るきっかけになったり、今後のより良い人生につながることがあります。
とはいえ、劣等感の克服のために何から始めたらいいか分からないですよね。
そんな時におすすめなのが、本を読むことです。本は、今生きていない人の知恵を得ることもできますし、同じように悩んでいる人がどんなふうに劣等感を克服したのか参考にもなります。ということで、劣等感を克服するのにおすすめの本を5冊紹介します。
おすすめ①:『絶望名人カフカの人生論』 著 フランツ・カフカ 訳 頭木 弘樹
チェコ出身の作家であるカフカはご存知でしょうか?朝起きたら巨大な毒虫になっている『変身』や、理由もわからないまま逮捕され審判を受けることとなる『審判』などで有名です。
そんな偉大な作家のカフカですが、実はかなりのネガティブ思考の持ち主だったようです。
こちらの本では、カフカの数々のネガティブな言葉が紹介されています。カフカには申し訳ないと思いつつ、読み進めるとネガティブすぎてちょっと笑えてくるのが不思議です。
さすが絶望名人と言われるだけあり、読んでいる自分が感じている劣等感はそんなにたいしたことはないかもしれないと思えてきます。
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おすすめ②:『タオ-老子』 著 加島 祥造
老子は春秋戦国時代に活躍した哲学者です。荘子という哲学者とともに老荘思想という形で紹介されることも多く、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
老子の思想はとても「ゆるくてやさしい」イメージです。
老子の代表的な教えの中に「無用の用」があります。たとえば、加工して木の器にしようと思ったら丈夫で立派な木を使う必要があります。そのため立派な木は早くに切られ、残るのは立派とは言えないような木です。
しかし、その立派ではない木は切られないので結局長生きし、夏の暑い日には日陰を作り道行く人のためになるという内容です。
劣等感を感じていても、見方を変えれば優劣なんてないかもしれないと思えてきますよね。
この本には他にも老子の言葉がたくさん掲載されています。哲学者の本というと難しいイメージがあるかもしれませんが、詩のように短い言葉がたくさん載っているので本を読むのが苦手な方にもおすすめです。
パラパラとめくって興味のあるところから読んでもいいですし、ぱっと開いたページを読むのも意外な発見があり劣等感の克服につながると思います。
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おすすめ③:『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』 著 岡田 斗司夫FREEex
タイトルからとても魅力的な本ですね(笑)タイトル通りこちらは仕事で劣等感を感じている方におすすめの本です。
「仕事」というと週5日8時間、さらに残業や休日出勤して嫌なことも受け入れながらやってくものというイメージがありますよね。副業を認める会社や、ネットでの新しい働き方も出てきてはいますがまだまだ会社で働く働き方が主流だと思います。
そんな中この本では副業ともまた違った、「多職」という働き方を提唱しています。お金になる仕事・お金にならない仕事・これからお金になりそうな仕事を同時進行していくというものです。
百の職業を持っていたと言われる百姓のようなものです。ポイントはお金にならない仕事も仕事として考える点です。今の時代は強烈な好きという気持ちが仕事につながることもあるので、最初からお金になっている必要はないといいます。
ひとつの仕事、ひとつの職場にとらわれるとそこでの評価しかなくなるためうまくいかないと劣等感は強くなります。職場以外にも活躍できる場があると、劣等感はおのずと克服できるのではないでしょうか。
新しい働き方の参考にもなる本なので、ぜひ読んでみてください。
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おすすめ④:『すべては「単純に!」でうまくいく』
著 ローター・J・ザイヴァート+ヴェルナー・ティキ・キュステンマッハー
訳 小川 捷子
こちらの本では物・お金・時間・健康・人間関係・パートナー・あなた自身の7つに分けて、シンプルに生きるためのアドバイスをしてくれます。
劣等感を感じるときには、自分自身の昔の失敗や後悔、なぜ自分は他の人よりできないのかと考え込んでしまうことがありますよね。
この本は、「朝起きてすぐに水を飲もう」「うまくいったら祝おう」など、今すぐにでも行動にうつせるようなことがたくさん書いてあります。考えすぎずとりあえずやってみようかなと思えるのが魅力です。
シンプルすぎて本当に劣等感の克服につながるのかと感じるかもしれませんが、シンプルな中に本質は隠れていると感じます。ぜひ本を読んで実践してみてください。
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おすすめ⑤:『さるのこしかけ』 著 さくら ももこ
「ちびまるこちゃん」で有名なさくらももこさんは、エッセイも本当におもしろいです。水虫や痔の治し方のエピソードなど、自身のことや家族のことが書いてあり本当に笑えます。
笑うことで劣等感でもやもやした気持ちが癒されるのはもちろんなのですが、このエッセイでは一見悪いことのように思えることも笑いに昇華されています。
今自分が感じている劣等感をエッセイ風に書いたら客観的になり、案外気にすることでもないかもしれないと感じると思います。
実際、紙に自分の気持ちを書きだすことで気持ちが落ち着くことがあるのでやってみてもいいかもしれません。ちなみにこのエッセイのシリーズは『もものかんづめ』『たいのおかしら』もありますのでそちらもあわせておすすめです!
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まとめ
今回は強い劣等感の原因についてお伝えしてきましたが、当てはまるものはありましたか?意外と当てはまる方は多いのではないかと思います。劣等感の原因を知れば知るほど、劣等感はなくならないのでは…と感じてしまいますよね。
対処法に関してもお伝えしましたが、すぐに劣等感をなくすのは難しいと思います。ただ、劣等感はもっと良くなりたいという気持ちの表れでもあり完全に悪いものではありません。結果を焦らずに対処して、劣等感とうまくつき合っていきたいですね。
また、劣等感の克服におすすめの本を5つご紹介しました。
- 『絶望名人カフカの人生論』 著 フランツ・カフカ 訳 頭木 弘樹
- 『タオ-老子』 著 加島 祥造
- 『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』 著 岡田 斗司夫FREEex
- 『すべては「単純に!」でうまくいく』
著 ローター・J・ザイヴァート+ヴェルナー・ティキ・キュステンマッハー
訳 小川 捷子
『さるのこしかけ』 著 さくら ももこ
本は安価でありながら人生を変えるような言葉に出会えるのが魅力ですよね。今回紹介した5つは普段読書をしない方も読みやすい本になっているので、ぜひ読んでみてください。