働き方

会社を退職した!わかりにくい手続きを簡単解説!健康保険・雇用保険編

初めて会社を退職した方、退職の際に、各種の手続きに関する説明があったことと思います。しかし、説明を受けたが、「聞き忘れた」「理解したつもりだったが、忘れてしまった」ということはありませんか?そんなあなたの困りを解決致します!

第一回目は健康保険と雇用保険についてお話しようと思います。

退職の際、必要な手続きは大きく分けて4つ

あなたが会社を退職し、次の仕事が決まっていない状態なら、少なくとも4つの手続きが発生します。でも大丈夫。一つずつクリアしていけば難しくありません。今まであなたに変わって会社の人事部門の方がやってくれていたことをあなたが行うだけです。

  • 健康保険
  • 雇用保険
  • 年金
  • 税金

上記について、自分で手続きを行う必要があります。1回目の本記事では健康保険と雇用保険について見ていきましょう。

健康保険

日本の医療は世界に誇る国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)という制度で成り立っています。これは国民全員が健康保険に加入し、安い自己負担で医療を受給できる、という制度であり、日本の社会保障制度を大きく特徴づけるものです。実は世界でも珍しい制度です。

あなたがもし、旅先で病気や怪我で病院を受診する場合、保険証さえあれば、全国どこの病院でも受診することができます。これをフリーアクセスといい、こちらも日本が世界に誇る制度です。

上記の2点により、日本の医療は世界保健機関(WHO)により、「総合点で世界一」と高い評価をうけました。私達日本人は実は大変恵まれた環境にいるのですね。

さて、会社員だったあなたは、会社の人事部門の方が医療保険への加入手続きをしてくれていました。その結果、あなたは行政上の手続きをすることなく、入社時に会社から保険証をもらったはずです。病院に行ったら3割負担で安く医療を受けることができていたと思います。

会社を退職したら、今度はあなたが人事担当者に変わって手続きをしなければなりません。

もしあなたが再就職先がきまっていない場合、以下の4つの選択肢のうちから選ぶことになります。

  • (1)国民健康保険に加入する
  • (2)任意継続被保険者として現在の健康保険組合に加入し続ける(退職後2年間のみ)
  • (3)家族の被扶養者となる
  • (4)健康保険の特例退職者医療制度に加入する

以下にそれぞれの保険者の特徴を見ていきます。

(1)国民健康保険に加入する

国民健康保険は各市区町村が運営しており、加入や脱退などの手続きは住所登録のある市区町村役場で行います。市区町村ごとに運営しているため、保険料の計算方法も住む場所によって多少異なります。

参考資料:http://5kuho.com/html/kokuhotowa.html

退職日の翌日から14日以内に加入手続きをすることに注意しましょう。保険料は任意継続保険より高くなる傾向にあります。

(2)任意継続被保険者となる

会社員だったあなたの場合、保険料は会社とあなたの折半で支払っていました。これをあなたが支払うことになります。保険料負担は約2倍になります。

注意点は以下です。

退職日の翌日から20日以内に手続きをすること

申請を忘れてしまうと、よほどの理由がない限り、申請書を受理してくれません。任意継続保険のほうが保険料が安くすむはずなのに、申請を忘れた為に国民健康保険に加入せざるを得なくなってしまった、ということにならないように忘れず申請しましょう。

(3)家族の被扶養者となる

再就職せず、パートタイマーとして働くならば、配偶者の扶養に入ることも選択肢です。保険料は免除となりますが、加入には複雑な壁があります。ひとつづつ見ていきましょう。

106万円の壁

まず、以下の5つの条件を満たすと、お勤めの会社で社会保険に加入しなければなりません。すなわち、配偶者の扶養に入ることはできません。

  • 労働時間が週20時間以上
  • 1カ月の賃金が8.8万円(年収106万円)以上
  • 勤務期間が1年以上ある見込みである
  • 従業員501人以上の企業に勤務している
  • 学生でないこと

上記がよく言われる「106万円の壁」です。パート・アルバイトは106万円以上稼げなくなった、と誤解されている方もおられますが、上記の5つの条件に当てはまる方のみです。また、もう一つよくある誤解で年間106万円以下に抑えればよいのか?というものがございます。

これは、「どのような条件で働くか」という契約がポイントです。契約では時間外労働はない、と聞いていたが、実際には時間外が発生し、月8.8万を越えてしまった場合などは問題ありません。時間外労働、通勤手当などは、計算から除外することができるのです。あくまでも、どのような契約になっているか、ということがポイントとなります。

参考資料:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/0000162526.pdf

130万円の壁

また、あなたがパートタイマーなどで年収を130万円(実収入ではなく、見込み年収であることに注意)以内に抑えて働く場合、配偶者の被扶養者となることが可能となってきます。見込み年収の算出の仕方は配偶者の加入する保険者により、計算方法が異なります。

この点は配偶者の加入する保険者にご確認ください。また、被扶養者になるには、年収以外にも複数の条件があります。以下に掲載致します。

  • 健康保険法に定める被扶養者の範囲であること。
  • 後期高齢者(75歳以上)に該当していないこと。
  • 被保険者がその家族を扶養せざるを得ない理由があること。
  • 被保険者がその家族を経済的に主として扶養している事実があること(=その家族の生活費を主として負担していること)。
  • 被保険者には継続的にその家族を養う経済的扶養能力があること。
  • その家族の年収は被保険者の年収の1/2未満であること。
  • その家族の収入は年間130万円未満(60歳以上又は59歳以下の障害年金受給者は年間180万円未満)であること。

上記を満たす場合、健康保険料の免除を受けることができます。なお、先述の106万円の壁と異なり、通勤手当などは収入に含めます。

極端な例ですが、遠方から通勤する方で健康保険に加入する算定月に多めに働いた方が、その後勤務時間が大幅に短くなり(通勤手当を含めて)月あたりに108,334円以下で働いたとしても、扶養に入ることはできません。注意が必要なポイントです。

参考資料:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230

参考資料:http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-02.html

(4)健康保険の特例退職者医療制度に加入する

この制度は、『定年などで退職して厚生年金(老齢年金)などを受けている人が、後期高齢者医療制度に加入するまでの間、国民健康保険の保険料と同程度の負担で、在職中の被保険者と同程度の保険給付(傷病手当金・出産手当金を除く)、ならびに健康診査等の保健事業を受けることができる制度』といい、制度を採用する保険者を特定健康保険組合といいます。

任意継続とよく似ていますが、加入できる期間が74歳まで、と大変長いことが特徴です。平成26年度末時点で、実施している保険者は61組合と、大変少ない状況です。

参考資料:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000064187.pdf

健康保険は保険料を調べて賢く選択

いずれの保険を選んでも、医療機関の窓口で負担する割合は同じ。であれば、保険料が安いほうを選ぶのが良いでしょう。一般的には任意継続を選択するほうが安くなる傾向はあります。ここはあなたのお住いの市区町村によって変わってくる部分です。

私は会社で加入していた健康保険の保険者と市役所の両方に問い合わせをおこなって、保険料をシミュレーションしてもらいました。ある程度、正確な数字を提示してくれますので、迷ったら問い合わせを行うのが良いでしょう。親切に教えてもらえますよ。

ただし、任意継続の手続きは退職前日までに、被保険者期間が継続して2ヶ月以上あることが条件ですので、条件に当てはまるか、確認しましょう。

雇用保険

雇用保険の基本手当てとは

基本手当とは、失業中の生活を補償する為に支給されるもの。失業期間中の生活費となります。雇用保険は在職中、あまり意識しないものの一つでしょう。なぜならば、保険料が安く、給与から天引きされている額が大きくないからです。

事業によって料率が異なりますが、1000円前後の額に収まるケースが多いでしょう。平成30年4月の保険料率は以下の平成29年度と変更ありません。

参考資料:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000192647.pdf

この雇用保険、保険料は安いですが、あなたが失業状態にあり、求職活動を行っているのであれば、生活のベースになる大変ありがたいもの。しっかり確認し、確実に給付を受けましょう。

失業給付を受給するには条件がある

失業給付(基本手当とも呼ぶ)を受けるには以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 離職していること
  • 就職する意思と能力があり、積極的に求職活動を行っていること
  • 離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること

賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1カ月として数え、保険者に加入していた期間が12ヶ月以上、かつ失業状態にあり、積極的に求職活動をしている場合、給付を受けることができます。

上記とは逆に、以下の条件に当てはまる場合は受給できません。失業状態ではない、とみなされるからです。

  • 病気や怪我のとき
  • 妊娠・出産・育児などですぐに働けないとき
  • 病人の看護などですぐに働けないとき
  • 定年退職後しばらく休養するとき
  • 家事に専念するとき
  • 学業に専念するとき
  • 就職がすでに内定し、求職活動を行っていないとき
  • 積極的に求職活動を行っていないとき
  • 自営業を始めたとき(準備を含む)
  • 家事・家業の手伝いをしているとき、
  • 会社・団体などの役員に就任していた時

あなたが純粋な失業状態にあり、求職活動をしているならば、まず給付制限に引っかかることはないでしょう。

給付額はどのくらい?

給付額はおよそ離職前の賃金の5割から8割程度。

計算式は以下です。

基本手当日額(A)=賃金日額(B)×給付率(C)

(A)一日あたり給付される額です。

(B)退職前6カ月の賃金(ボーナスを除く)総額を180で割って算出します

(C)年齢や賃金日額(B)によって50%~80%

基本手当には上限があり、平成28年8月時点(平成29年6月1日時点で最新)のものは以下です。

  • 30歳未満      6,370円
  • 30歳以上45歳未満 7,075円
  • 45歳以上60歳未満 7,775円
  • 60歳以上65歳未満 6,687円

参考資料:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000130892.pdf

参考資料:https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html

失業給付のもらい方

失業給付をもらうには、お住いの地域を管轄するハローワークにて手続きを行う必要が有ります。手続きには以下を用意してください。

  • 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
  • 個人番号確認書類(いずれか1種類)
    マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
  • 身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類をお持ちでない方は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可))
    (1)運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
    (2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
  • 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。)

会社からは離職票-1と離職票-2を受け取ります。また、雇用保険被保険者証は会社が預かっている場合もありますので、確認してみましょう。以下に、給付までのフローを掲載致しました。

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上記のような流れです。離職票1、2は交付までに少し時間がかかります。早めの準備が望ましいです。上記に記載した準備物は④の求職申込みの際に必要となります。

離職理由によって給付日数は異なる

雇用保険の給付日数は退職理由によって異なります。具体的には以下の2つの理由に大別されます。

会社都合

やむなく会社に退職させられたかどうかということです。倒産・解雇などによって会社を退職した場合はこれに当たります。

自己都合

転職、病気の療養、引っ越しなど、自分の都合により退職する場合がこれにあたります。後述しますが、多くの場合、自己都合退職となります。会社側としては、会社都合退職者を出してしまうと不都合なことが発生することがある為です。

この会社都合か自己都合かにより、給付日数は大きく変わります。例えば、以下の表を見てください。

↓クリックで拡大

引用元:http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/dl/040330-2b-20.pdf

ここでは、①~③に分類されています。①は主に会社都合退職、②は自己都合退職です。①を「主に」と書いたのは、自己都合退職でも①の適用を受けるケースがある為です。(後述)

①と②を比べて見てください。例えば、あなたが、45歳、自己都合による離職であり、20年間雇用保険に加入していた方なら、150日の給付期間が有りますが、会社都合となると、330日まで基本手当を受給できるようになるのです。2倍以上の期間となるのでその差がいかに大きなものかおわかりいただけるでしょう。

この退職理由は基本的に会社に決定権が有ります。ここはポイントです。会社はハローワークより離職票を取り寄せ、退職者に郵送か手渡しで交付します。この離職票がなければ、労働者は雇用保険を申請できません。

以下の場合は一般退職者より給付日数が長い

1 特定受給資格者

以下の2通りのケースでは特定受給資格者と認定され、上記の表で①の給付を受けることができます。すなわち、一般退職者より約2倍の期間の給付を受けることができます。

これは「会社側の都合」による退職です。以下に記載するケースが、該当します。

倒産等により離職した者
  • 倒産した
  • 事業縮小 で大量に離職者が出た(1か月に30人以上あるいは3分の1以上)
  • 事業所の廃止
  • 事業所の移転により通勤が困難になった場合
解雇等により離職した者
  • 自分が悪くないが解雇となった場合
  • 労働契約の条件が事実と著しく相違する場合

  • 賃金の未払い

  • 賃金が、85%未満に低下した

  • 離職の直前6か月間のうち、3か月で45時間、1か月で100時間、又は2か月以上の期間の残業時間が平均で80時間を超える時間外労働が行われ、離職した場合

  • 事業主が危険・健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、必要な措置を講じなかった為、離職した場合

  • 妊娠中あるいは出産後の労働者・又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと(法令違反)を理由に離職した場合

  • 妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した場合

  • 職種転換があったが会社が必要な配慮をしないため離職した場合

  • 期間の定めのある労働契約を3年以上更新されたが、更新されないこととなったことにより離職した者

  • 期間の定めのある労働契約において、契約更新されることが明示されたが、更新されないこととなったことにより離職した場合

  • 上司、 同僚等からのパワハラがあり離職した場合

  • 事業主が職場におけるセクハラの事実を知っていながら、対処しなかったために離職した場合

  • 妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、対処しなかったことにより離職した場合

  • 事業主から直接若しくは間接に勧奨を受け、離職した場合

  • 会社の都合による休業が3か月以上となり離職した者

  • 事業所の業務が法令に違反したため離職した者

引用元:https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_range.html

一口に会社都合退職と言っても、かなりの項目数に渡ることがおわかりいただけるでしょう。

この会社都合退職とは、会社として、なるべく出したくないもの。よほどのケースでない限り、会社は自己都合退職として処理したがります。(後述)

2 特定理由離職者

こちらは会社都合では有りませんが、特定受給資格者と同じ待遇を受けます。

やむを得ない事情で退職した人が該当します。

  • 有期雇用労働の契約期間が満了し、更新されなかった場合
  • 体力の不足、心身の障害などで業務ができなくなり離職した場合
  • 妊娠、出産、育児等により離職し、かつ受給期間延長措置を受けた場合
  • 父若しくは母の死亡や介護、家庭事情の急変の為、離職した場合
  • 配偶者や扶養親族と別居生活を続けることが困難となり離職した場合
  • 会社の人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した場合
  • 次の a~gの理由で通勤不可能又は困難となったことにより離職した場合
  1. 結婚に伴う住所の変更
  2. 育児に伴う保育所その利用又は親族等への保育の依頼
  3. 事業所の通勤困難な地への移転
  4. 自己の意思に反しての住所又は居所の移転
  5. 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
  6. 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
  7. 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避

引用元:https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_range.html

特定受給資格者、特定理由離職者ともに、給付制限がなく、給付期間も長いことが特徴です。すなわち、認められると、すぐに給付が開始されるということです。

離職理由で会社と揉めた場合の対処方法

多くの場合、会社は「会社都合退職」を認めません。以下の2つの理由によります。

  • 会社のイメージダウン
  • 助成金を受給している場合、助成金をカットされることがある

会社側は全力で自己都合とするでしょう。私もパワハラでの離職理由を巡って過去に揉めたことが有ります。離職票の理由を記載するのは、会社です。ここを覚えておきましょう。「会社都合」と思っていたのに、「自己都合」と記載された離職票が送られてきた場合、以下のことを試してみましょう。

離職理由は異議申し立てができる

離職理由に異議がある場合、ハローワークに「異議申立て書」を提出することができます。労働者から申請を受けたハローワークは会社と労働者の間に立ち、調べを行います。しかし、この制度、はっきり言って、労働者にとって意味のある制度とは言い難いです。

私の場合、会社都合退職と思っていたましたが、自己都合で離職票がとどきました。その際、ハローワークで、職員の方に相談しました。返ってきた答えは以下のようなものでした。

「ハローワークはあくまでも民事不介入です。もし、離職票の理由に不服がある場合、異議申し立てをおこなっていただくくとができます。その場合、ハローワークから会社側に文書や電話で確認をとることはできます」

「では、会社がそういった事実がない、と突っぱねた場合はどうなりますか」

「その場合は会社側と労働者側の折り合いがついたという形での処理となります。」

民事不介入というのは、当事者間の争いにハローワークは入りません、ということです。このように、異議申し立てを行って、自己都合を会社都合に切り替えてくれるだろう、という期待はあまりできなさそうであることがおわかりいただけますでしょうか。

あくまでも離職理由の決定権は会社にあり、ハローワークは立ち入ることはできないのです。なんのための制度なのか、疑問が残ります。

弁護士に相談することもできる

弁護士に相談するのも一つの手です。あなたが、もしモヤモヤとした気持ちをかかえているならば、相談してみるのは悪いことではないかとおもいます。

私も相談してみました。私は離職票の理由の見直しとパワハラがあったことを証明したいという思いが有りました。結果は、裁判を起こすには、すこし材料不足であることであったのですが、気持ちの面で踏ん切りがつきました。

相談料は1回5000円程度かと思いますので、けじめをつける手助けをしてもらう、と思って相談してみるのはいかがでしょう。

給付制限もある

話を失業給付に戻します。基本手当は受給資格を満たしても直ちに受給できるわけではありません。以下の3つの場合、1ヶ月から3ヶ月の期間の後、やっと給付が開始される、という給付制限が行われます。

  • 離職理由が自己都合である場合や自分が重大な解雇理由を作り離職した場合など
  • 職業紹介を拒んだ時
  • 不正な行為により失業給付を受けたとき

多くの場合、自己都合による離職となるでしょう。その場合、離職してからしばらくの期間、収入が止まることになります。また、手続きが遅れると、受給期間の1年間に所定給付日数を消化しきれない場合も出てきます。手続きは早めに行いましょう。

まとめ

  • 会社を退職したら健康保険・雇用保険・年金・税金の手続きが必要
  • 健康保険は、役所や、保険者に問い合わせると保険料を教えてくれる。
  • 任意継続の場合20日以内、国民健康保険にはいる場合は14日以内に手続きをしよう
  • 雇用保険の給付は離職理由によって給付日数が異なる。
  • 離職理由の決定権は会社にある
  • 多くの場合、基本手当の給付は離職後1~3ヶ月後に開始される

今回の記事では会社を退職した場合の手続きを健康保険と雇用保険に的を絞って解説致しました。

次回は年金と税金について解説したいと思います。

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