年金

会社を退職した!わかりにくい手続きを簡単解説!年金・税金編

初めて会社を退職した方、退職の際の手続きは以外と大変。前回の記事では、初めて会社を退職した方に健康保険と雇用保険の手続きについて説明いたしました。第二回目は年金と税金についてわかりやすく解説致します。

年金

そもそも年金制度の仕組みはどうなっているのか

日本の年金制度は国民皆年金(こくみんかいねんきん)といい、すべての国民がなんらかの公的年金制度の適用を受けています。これは健康保険と同じく、日本が世界に誇る制度です。

国民全員が入る、というこの制度は保険料もそこそこで、そこそこの保障を受けることができるもの。ありがたい制度といえるでしょう。下の図を見てください。

↓クリックで拡大

https://seniorguide.jp/article/1001631.html

 

この図は年金の構造をわかりやすく示していると思います。会社員であったあなたは図の右端部分の「第2号被保険者」とかかれていた部分に相当していました。この第一号や第二号というのは年金の加入者を三種類に大別しているものです。

どのような人でも必ず第一~第三のいずれかに属します。

あなたがサラリーマンとして働いていたことを前提にすると、会社に雇用されている期間は第二号被保険者でした。第二号被保険者とは、国民年金と厚生年金に加入している状態の被保険者を指します(公務員の場合は共済年金)。会社によっては私的年金に加入している場合や、あなたが自分で運用している場合もあります。

このように、会社で働いていた場合、あまり意識することがなかった年金制度ですが、実はサラリーマンのあなたは国民年金と厚生年金に加入していた、ということになります。

退職すると自分で種別変更をする必要がある

会社を退職すると、あなたの種別(しゅべつ)を第二号から第一号に変更する必要が有ります。手続きは簡単。以下に記載致しました。

  • 場所:お住いの地区の市区町村役場の年金窓口
  • いつまでに:退職日の翌日から14日以内
  • 必要なもの:年金手帳・印鑑・離職票など、退職を証明するもの・身分証明書(運転免許証など)

役所の窓口で手続きができます。もし、手続きを忘れると、年金の額が減ったり、受給できない場合がありますので注意してくださいね。

配偶者の扶養に入ることもできる

あなたが年収130万円以上稼がない予定であれば、配偶者の扶養に入ることができます。この場合が最もお得でしょう。この場合、第三号被保険者となり、保険料の納付は不要です。130万円を超える収入が発生すると第一号被保険者として、保険料の納付が発生致します。

保険料の支払い方

国民年金保険料は平成29年4月時点で16,490円/月です。支払いは講座振替、納付書でのお支払い、クレジットカード払い、先払いによるお得な支払い方法も有ります。毎月必ず支払う必要があるので、クレジットカード払いは賢くポイントを貯める方法ですね。

納付期限は、法令で「納付対象月の翌月末日」と決まっています。忘れないように納付しましょうね。

参考資料:http://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150313-02.html

税金

支払う税金は2種類

会社員だったときは意識していませんでしたが、支払っていた税金には以下の2種類があります。

  • 住民税
  • 所得税

なぜ、意識していなかったかと言うと、会社があなたに変わって納付をしてくれていたからです。会社を退職すると、今度はあなたが自分で支払いを行う番です。そのためには、それぞれの税金について知っておくことが有ります。簡単に解説しましたのでひとつづつ見ていきましょう。

住民税

まずは住民税です。住民税とは、市町村民税と道府県民税の総称で、1月1日時点で、居住している都道府県・市区町村に納付するものです。構成は所得割と均等割の2つからなっています。

1 所得割:前年の所得に対して課税される税額

前年の所得(しょとく)に対して課税されるのがポイントです。この点が、所得税と異なる部分。後述します。以下のように計算します。

(総所得金額等-所得控除額)×税率-税額控除額

2 均等割:所得にかかわらず、定額で課税される税額

均等割は所得の多少にかかわらず、一定の税額が課税されます。地域格差はほぼありません。

市町村民税3,000円

道府県民税1,000円

合計4,000円(年額)

大阪市などは例外的に、市民税が年額3,500円、府民税が年額1,800円の合計5300円となっています。

では、次に住民税の徴収サイクルについて見ていきましょう。

住民税は退職しても支払う義務がある!

住民税は前年の所得に対して課税されるもの。いつの所得に課税され、いつ支払うのか、ということは少しややこしいので図解で説明致します。

上の表では、2015年の1月から12月の所得に対して課税された税額を2016年の6月から2017年の5月まで支払う、ということを示しています。徴収額は前年の所得から算出したものです。現在は2017年の6月ですので、2016年の1月から12月の所得に対する税額の徴収がスタートしたところですね。

退職時期によっては会社から給与天引きされる

退職時期によっては、会社に一括徴収の義務が有ります。「なぜこんなに引かれているのか」と、ショックを受けてしまう前に仕組みを知っておきましょう。

1月1日から4月30日退職

会社は5月分までを一括して徴収する義務があります。(地方税法第321条の5第2項)

ですので5月分まではあなたが自分で支払い手続きを行う必要はありませんが、数ヶ月分を一括で徴収されるのですこしショックが大きいかもしれません。

5月1日から5月31日退職

通常通りの住民税額が給与から天引きされます。

6月以降退職する場合

自分で納付することになりますが、希望すると、一括徴収できる場合も有ります。会社に問い合わせてみてください。

住民税の支払い方法

支払い方法は簡単。市区町村役場や金融機関の窓口、コンビニなどでも支払い可能です。ちなみにお得な納税方法はカード支払い。少しでもポイントになりますので、活用してみてはいかがでしょう。

住民税は遅れて支払う性質の税金です。忘れた頃にやってきますので、退職しているのになぜ?と思ってしまいますが、支払いからは逃げられません。遅れると「延滞税」がかかり、税額が増えますので、くれぐれも支払い忘れのないようにしましょう。

所得税

所得税とは個人の所得に対して課税される税金です。所得とは、収入から一定額を控除した金額のことです。会社員だったあなたは所得税が給料から天引きされていました。これを源泉徴収といいます。この場合、12月に払いすぎた税額を、年末調整を行い戻してもらう、ということを毎年行っていたかと思います。

ハテナが飛んでいる人のために

所得ってなに?控除って?迷子の人のためにすこし説明をします。「所得」と「収入」は違います。会社員であったあなたを想定した場合、収入とは、給与+賞与の合計額です。「年収」のことです。

これに対して所得とは、課税対象になる金額のこと。サラリーマンが活動するために、必要であろうと思われる経費を収入から差し引いた金額のことを指します。

控除とは、収入から経費をひいた額からさらに差し引き、課税対象となる所得を小さくすることのできるお金のこと。課税対象の所得が小さくなるとそれだけ税額も小さくなります。

会社員で同じ給与を得ていても、年齢やライフステージ、家族構成により、税金を収める能力は異なります。個人の支払い能力に応じて、公平に課税する為、総所得額から控除できるものが沢山あります。控除についてもっと詳しく知りたい方は以下のURLを参照してください。

参考資料:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/shoto320.htm

年末調整とは

源泉徴収額は1年間、見込み額で徴収されます。しかし、1年間の間に扶養者の増減があったり、生命保険料・損害保険料など、所得から控除できる金額があったり、正確な所得は年末に確定します。年末に確定した所得をもとに1年間の源泉徴収額を精算することを年末調整といいます。

確定申告とは

会社員だったあなたは年末調整を行って所得税の過不足を調整していました。しかし、退職し、年末12月31日時点で再就職していない場合、年末調整では無く、1月1日から12月31日までに得たすべての所得を計算し、申告・納税する必要があります。これを確定申告といいます。時期は退職した年の次の年の2月から3月頃です。

FX取引を行っている人などは必要になってくると思います。私も苦い経験があるのですが、年内に儲けた額が納税義務額を大きく上回った為、確定申告が必要になったのですが、年末に多額の含み損をかかえてしまいました。納税額をあわせてトータルで大きなマイナスが出てしまいました。

当然納税義務は残っていたので、妻にお金を借りて泣く泣く確定申告を行いました。その後の半年間はお小遣いを半分に減らされてしまいました笑。損失が出ているのに確定申告を行う悔しさは今でも忘れることができません。

あなたは確定申告が必要?不要?

実は、会社を退職した時期により、確定申告が不要な場合があります。

確定申告が不要な場合
  • 年内で退職し、再就職した+前職の源泉徴収票を提出し年末調整をする場合

会社で年末調整をしてもらえるケースです。納税の手間という視点では、大変有利ですね。

確定申告が必要な場合
  • 年の途中で退職して、そのまま無職のまま12月31を迎えた場合
  • 1年のうちに就職と退職した。12月31日時点で無職の場合
  • 年度途中で退職して、再就職したが、前職の源泉徴収票が間に合わない場合

上記の3つのパターンの場合、会社が年末調整を行えません。自分で確定申告を行う必要が有ります。

確定申告に必要なもの

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • 社会保険、生命保険、健康保険料などの控除証明書
  • 印鑑
  • 還付金を振り込んでもらう銀行口座の通帳

確定申告書は国税帳のHPからダウンロードできます。

確定申告書にはAとBがあり、どちらも使えますが、Aは簡易版、Bは詳細版です。Bはどちらかというと個人事業主さん向けです。

源泉徴収票は会社からもらい、社会保険や生命保険、控除証明書は、年末になると自宅に送付されてきますので、捨ててしまわないように注意しましょう。健康保険の納付証明書は提出の必要はありませんが、提示をもとめられることが有りますので、こちらも大切に保管しましょう。

確定申告を行う時期・場所

時期は退職した次の年の2月から3月、所轄の税務署で行います。この時期は税務署は大変な混雑になります。行列ができるほどです。夕方は混雑がゆるい傾向にあるようですね。ストレスなく確実に納付しましょうね。

まとめ

  • 退職したら年金の種別変更を忘れずに!
  • 住民税は前年の所得にたいして課税されるもの。退職しても納付義務がある
  • 所得税は源泉徴収されていたが、退職すると、確定申告が必要。

以上、2回に渡り、会社を退職したときの各種手続きをさらっと見てきました。人事部門には退職専門担当者がいる会社もあるくらい、煩雑な手続き。退職するとこんなにも手続きがあるんだ、ということをお分かりいただけたでしょうか。

余談ですが、退職すると、普段意識しない税金のことや、年金のことを考えたり、働き方の事を根本から考える機会にもなります。まだ退職したことのないあなた。一度退職すると、意識が揺さぶられ、人間の幅が確実に広がりますよ。一度は退職してみることをオススメします。

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